21-2
この世界に住む人々は死んでいなくなるのではなく、神の力で再び、記憶をなくした状態で生まれ変わる。
だからといって、死が悲しくない訳じゃない。
後ろに並ぶ彼らにとっては共にこの世界を変えたいと願い戦ってきた戦友なのだから。
もしかしたら、兄弟だった者もいるかもしれない。
もしかしたら、恋人同士の者もいるかもしれない。
もしかしたら、唯一無二の親友だったかもしれない。
声を殺して泣く者は少なくない。
俺だってもちろん悲しくない訳じゃない。
自分より幼くて、力が無い者が死んでいったのだから、悲しくないはずがない。
「わたくしの……せいなんでしょうか?」
黙祷していた俺の横で、ユリスティナがその翡翠色の瞳に涙を浮かべて、そう呟いた。
「わたくしがユウマ様を頼りさえしなければ、亡くならないで済んだのでしょう? やはりわたくしのせい……」
「ユリスティナのせいなんかじゃないさ。ユリスティナが俺を頼ってくれたから、彼らは無駄死ににならなかったんだ。ユリスティナが俺を頼ってくれたから、後ろにいる彼らは今も生きていられるんだ。ガイベラスが存在している限り、彼らは俺がいようといまいと突っ込んでいったし、皇帝を真の敵だと思ったまま戦っていたんだ。そして、今と同じ結果が得られたかはわからない。いや、悪くなっていた可能性が高い。……だからユリスティナ、自分を責めるな。ユリスティナが俺を頼ってくれたから、最良の結果を得られたんだからさ……」
ユリスティナはその目に涙を溜めたまま、再び墓に向かって黙祷し始めた。声を押し殺して泣く姿に、俺はそれ以上何も言うことはなく、彼女の頭を撫でる事しか出来なかった。
◆ ◆ ◆
「それで? 話ってなんだ?」
共に墓参りを済ませた後、俺達は案内されるがまま、一つの住居に入った。
現在、この場にいるのは、ソファーに座った俺の両隣にシルヴィとユリスティナがそれぞれ座り、キョウ君と沈んだ表情を見せる双子姉妹、そして、ホムラとアオイ、バートラム博士がそれぞれ椅子に座っていた。
「優真様、あなたにお願いがあります」
そう言ってきたのは、深刻そうな顔をしていたキョウだった。彼は自分の座っていた席から立ち上がると、優真の前にかしずき、頭を垂れ始めた。
「誠に勝手ではありますが、自分を『救世の使徒』から脱退させて欲しいのです!」




