20-4
何故か隣に座りたがるメイデンさんを他の席に座らせるのを諦めた俺は、とりあえず鉄の女神様から届いた手紙を読んでみることにした。
「え~となになに? 先日はうちの者が世話になった。礼はきっちりさせてもらうよ。……これ……怒ってね?」
手紙を音読した直後、隣に座っていたメイデンさんがいきなり立ち上がり、腰に携えていた剣を引き抜き始めた。
「えっ……!? ちょっ……ちょっと待って!! この前は変な魔法かけてごめんって! 魔法の効果があそこまで凄いものだとは思ってなかったんだって!!」
「……問答無用」
剣を振り回しながら、メイデンさんが近付いてくる。
それから逃れようとすると、ソファーの背もたれが邪魔でうまく下がれなかった。
「キャーーーーーッ!!」
キッチンの方から悲鳴が上がり、何かが割れたような音が響いた。
優真が横目で見ると、そこには怯えるように真っ青な顔をこちらに向けるシルヴィが立っている。
「離れてろ!!」
優真は慌てたようにそう言うが、シルヴィは立ちすくんだまま動かない。
その言葉ですら、今のシルヴィには聞こえていない様子だった。
「……くそっ! メイデンさん! 俺はまぁ、斬られても仕方ないことはしたよ? 自分達の身勝手でメイデンさんを利用したんだから。……だが、シルヴィは何もしていない! 他の皆もやってないだろ? だから、俺一人だけを罰してくれ!」
優真は、面と向かってメイデンに訴えかけるが、次の瞬間、少女は剣を鞘にしまった。
「……何言ってるの?」
首を傾げたメイデンは優真に向かってそう言ってきた。
「…………えっ? 俺を殺しに来たんじゃ……」
「……そんなことしたら地獄行き……それに誰も怒ってない……」
「怒ってないって、メイデンさんのところの神様は怒ってるだろ? それに剣を振り回してたし……」
「……剣を振り回したのは……神様の指示……1枚目を読み終えたら、立って振り回せ……そう言われた……」
……要するに、この神様は俺が怯えるのを楽しむために、意味深な文章で怒っている雰囲気を醸し出し、メイデンさんを使って、俺を驚かすつもりだったのか……。
本来であれば絶対に言う気はなかったのだが、あえて言わせてもらいたい。
この世界の神にまともそうなやついねぇのかよ!




