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雨雲が太陽の光を妨げ、代わりに大量の雨を降らせるそんな天気の中で、優真は自室にてシェスカのおままごとに付き合っていた。
近くには娘役に不満そうなユリスティナとお母さん役のシェスカが朝食中という設定で自分の役を演じきっている。ちなみにファルナはさっきからペットの猫役ということで、優真のベッドで本当に寝息を立てている。
「お父さん、今日はハンバーグだから早く帰ってきてね。行ってらっしゃ~い」
「行ってきます」
そんな訳で仕事に行くことになった訳だが、せっかくなので読みかけの女神の私物でも読もうと思い、机の前にある椅子に腰をかけると、シェスカが頬を膨らませながらこっちを見始めた。
「なんでお仕事行かないの!」
「えっ?」
「お兄ちゃんはお父さんなんだからお仕事行かなきゃいけないんだよ!」
「えっ? ここが仕事場じゃないの?」
「お兄ちゃんの仕事場所はリビングなの!」
そう言われながら、俺はシェスカに立たされて、強制的に部屋から追い出された。
「……わたくしもお父様のお手伝いに行ってきますわ」
「ユリお姉ちゃんはだめ! ユリお姉ちゃんはお母さんのお手伝い!!」
「…………はい」
(せっかくユウマ様と遊べると思ったのに……)
◆ ◆ ◆
せっかくパルテマス皇帝がシルヴィの自由と安全を保証してくれたお陰で、自由に外を歩き回れるようになったというのに、パルテマス城で話し合ったあの日から数日経つが一向に雨がやむ気配はない。そのため、シェスカとファルナの遊び相手を請け負っていたのだが……。
(……俺の部屋なのに……追い出された……)
「あれ? ユーマさん、シェスカ達と遊んでいるのではなかったのですか?」
優真が部屋の前で立ち尽くしていると、後ろから声がかけられた。優真が振り向くと、そこには栗色の髪をツインテールという髪型にしている少女が立っていた。
「シルヴィ……。いやまぁそうだったんだけどね。おままごとのお父さん役に抜擢されちゃってさ~。仕事場に行かないからって怒られちゃって、今は仕事場に向かってる途中だよ。子どもは変に妥協とか許してくれないからな……。お陰で部屋から追い出されたよ」
やれやれといった風に優真がそう語ると、シルヴィは苦笑した。
「……あはは……それは大変でしたね。では、リビングでお茶でもどうです?」
「それはいいね。どうせ少しの間は入れてくれないだろうし、シルヴィ達の邪魔でなければ、お願いできるかな?」
「ええ、掃除でしたら、マリカさんが協力してくれたので、すぐに終わりました。昼食の準備まで時間もありますし、私もご一緒させていただいても?」
「もちろんだよ」
こうして優真とシルヴィは下の階にあるリビングに向かった。




