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優真は一つ大きく深呼吸をした。
目の前にある大きな扉を見て、心臓の鼓動が高鳴っていく。
「優真君、君の頑張りにこの国の命運や、『救世の使徒』の今後は託したよ!」
「……性格悪すぎるぞ、お前……」
面白いものでも見るようににやつく女神の姿を見て、優真は肩の力を抜くことにした。
やれるだけの準備はした。
「今更思ったけど、神様って王様より偉いんじゃね?」
「ふふん、当然じゃないか。だから私をもっと敬いたまえ!」
ふんぞりかえっている女神の姿を見て「なら、緊張するのもばからしいな」と呟いて、扉を開いた。
扉を開くと、中には長い机があり、その上には食器が並べられていた。
そこにいたのは、白髪の現皇帝と、俺が誤って腹パンした次期皇帝と名高い皇子、そして、赤いドレスに身を包んだユリスティナだった。
先程、メイファンに案内された場所で用意されていたものに着替えた俺達は、高そうな服を着ていた。
「やぁ、時間通りだな。話し合いの前に食事は如何かな?」
「ええ、構いません。私も先程から空腹に耐えていたもので、そう言っていただけるとありがたいです」
「ふむ。では、すぐに用意させよう。……それで? そちらの者達が、貴公が言っておった守るべき大切な者達か?」
「ええ、右から紹介します。うちの信仰対象となっておられる子どもを司る女神です」
「やぁ、君がここの皇帝君かい? 鉄の女神が君に謝っといてくれって言ってたよ。ガイベラスとかいうバカも、今は二度と出られない地獄に落とされているから、彼に怯える必要はもうないよ」
「ありがとう……ございます。なんとお礼を言っていいのやら」
「だったら、彼の条件をのんでやってくれ。決して悪いものじゃない。まぁ、私視点なんだけどね」
皇帝が幼女に頭を下げているという端から見たら奇妙な光景を経て、優真は次の紹介に移った。
「では次の者が、女神の補佐を務める万里華。そして、婚約者のシルヴィ、その妹のシェスカ、最後にもう一人の眷族、ファルナ。以上5名が私の大切な者達です」
優真の紹介にあわせて、お辞儀をする四人は、昨日教えた通りの仕草でしっかりと挨拶をしていた。
皇帝の様子を見る限り、悪い印象を抱いた者はいなさそうだった。
シェスカがお辞儀した際には、とても驚いているのがその表情から読み取れた。
(昨日反復練習しといて良かった~!)
最初の挨拶を無事に終え、優真はそんなことを思いながら、心の中でガッツポーズをした。




