18-12
「これはこれは、鉄の女神の眷族筆頭、メイデン殿ではございませぬか。お久しゅうございます」
優真は恭しくこちらにお辞儀してくる男の姿に、一瞬でも目を離すべきではないと感じた。
先程の攻撃によって、【勇気】が強制的に働いた。優真とメイデンの二人は、その攻撃にいち早く気付いたことで回避することは容易だった。しかし、ただの人間でしかないホムラにその攻撃を避けることは不可能だった。
そのため、ホムラを抱えて回避に移ろうとしたのだが、メイデンへの攻撃に、すごく嫌な予感がした。
そんな直感に従い、咄嗟に彼女の体に手を回して自分の方に寄せ、回避行動に移った。
「……それにしても、今の攻撃はメイデン殿なら、武器を召喚して防ぐものだと思っておりましたが……よく避けましたな。そこの奴が邪魔しなければ、一番面倒な筆頭を殺せたというのに……貴様! 名前を教えろ!」
「雨宮優真だけど……」
「ちょっ!? なんで名乗ったんだよダンナ!」
「あれ? 名前知られたらなんかまずいことでもあんの? 戦う前って名前とか名乗るのが普通だと思ってたんだけど……」
高校のとき読んだ日本史の漫画では、武将が自分の名を名乗ってから戦闘に入るシーンがよくあるのを思い出したため、てっきり名乗れと言われたら名乗らなくちゃいけないもんだと思ったから名乗ったのだが、よくよく思い出してみると、武将ってもっとしっかり自己紹介をしていたような気がして、もうちょっとちゃんと自己紹介すれば良かったと少し後悔する優真だったが、ホムラの言いたいところはそこではなかった。
「……いや、ダンナがいいならいいんだけどさ。……確かダンナ……自分で軍に探されてるって言ってなかったっけ?」
「…………やべ……」
優真は顔を真っ青にしながら、自分のミスを責めてはいたものの、警戒を怠ってはいなかった。
だからこそ、どこからともなく現れた鎖の攻撃を、剣で防ぐことが出来たのであった。
「アマミヤ……ユウマ? 貴様が例の……? くくく……探す手間が省けたな」
含み笑いをしながら、そんなことを言い始めたガイベラスの姿を見て、優真はやらかしたとは思いつつも、どうせこの戦いが終われば勝っても負けても、軍が自分を探すことはないと言いきれるため、然したる問題ではないと判断した。
「……ご主人様は下がってて……ここからは私の仕事……」
そう言ったメイデンは、何も持たずにガイベラスの方へと駆ける足を速める。
「……覚悟して、ガイベラス……、【処刑道具召喚】解放……エクセキューショナーズソード……」
彼女がそう呟くと、彼女の手には1本の両手剣が握られていた。




