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「……お姉ちゃんここどこ?」
シェスカが不安そうな顔で、シルヴィを見てくる。
シェスカだけではない。他の皆も怯えた表情を見せている。
「大丈夫よ。村の皆がすぐに助けに来てくれるからね」
シルヴィには気休めの言葉をかけることしかできなかった。
なぜなら、今いるこの場所はそもそも、行く予定の場所ではなかったからだ。
◆ ◆ ◆
この場所は、彼女たちが当初行く予定の場所から1キロメートルほど離れた場所だった。
シルヴィにも何があったかなんてわからない。
ただ、目の前に広がる霧は前代未聞のものだった。
いきなり現れた濃度の濃い霧、ここ数年この村にいるが、こんな霧見たことがなかった。
護衛としてついてきた隣の家に住んでるおじさんは、
「私もこんな濃霧は初めてですね。シルヴィさん、子どもたちが迷子になる前に早く集めておいてくださいますかな? 私はちょっと、付近の様子を見てきますので」
と言ってどこかへ行ってしまった。
シルヴィは、護衛のおじさんが出した指示に従って、すぐに子どもたちを集めた。
泣いている子もいたが、そこまでは問題なかった。
しかし、一つ問題が起きてしまった。
護衛のおじさんが帰って来ないのだ。
20分くらい待っても、帰ってくる兆しがない。
何かが起こったのかと思い、子どもたちをその場に残し、声をかけながら探すことにした。
「ハルハマラさ~ん、何処ですか~? いるなら返事して、痛っ!?」
護衛のおじさんを呼びながら、歩いていると、足下がおぼそかになって、何かに躓いて転んでしまった。
「……イタタ」
手をつきながら上体を起こす。
近くにいる子どもたちが「ダッセー」とか「お姉さん大丈夫ですか?」と言ってくるのが聞こえる。
(ダイキ君は、今日ピーマン大盛にしてやる)
不安を紛らわすために、帰ってからの仕返しについて考えた時だった。
ほんの興味本位だった。
子どもたちが転んだらいけないと思って注意するためにどれ程の大きさかを確認するために見ただけだった。
躓いたそれは、人の死体だった。
女性のようだから、ハルマハラさんではない。
見たことがない人だった。
シルヴィは、恐怖で悲鳴を上げようとしたが、それは誰かに口を押さえられたため、阻止された。
「落ち着いてくださいシルヴィさん。私です」
(ハルハマラさん?)
「悪いのですが、ここから先、私は貴女たちと行けそうにありません。貴女は悲鳴を上げずに子どもたちを連れて村へと戻ってください。道中は危険かもしれませんが、ここよりよっぽど安全ですから」
言いたいことだけ言うと、ハルハマラさんは口を抑えていた手をどかしてくれた。
「最後まで同行できず申し訳ありません」
ハルハマラさんは、その言葉だけ残して、再び気配を消してどこかに行ってしまった。
そして残された私は、ハルハマラさんの言った通りにした。




