18-7
「くそっ!!」
優真は通信が切れた後、悪態をつきながら壁をおもいっきり殴った。そこに亀裂が入っていき、無傷の拳を抜けば殴られた跡だけが残る。
仲間が全員無事なんて楽観視をしていた訳ではない。彼らを強制した訳ではない。ここに来たのは彼らの意思だった。
ホムラや隊長達は自分達が死んでも、自分達の責任であって俺のせいじゃないと言ってくれた。
……だからと言って、それで切り換えられるはずがない。
彼らを巻き込まないで済む選択だって出来たんだ。
『それだと君だけが傷つき、死に絶え、もっと甚大な被害が出ていただろうね。そして、彼らは自分を責めるだろう。これが最良の選択だった。君は犠牲になった者達のぶんまで先に進むべきだ』
(……わかってる。……でも)
『まだ、ガイベラスは野放しだぞ?』
その文字がタッチパネルに表示された直後、優真は息を飲んだ。そして自分の心を落ち着かせるために目を閉じ、ゆっくりと深呼吸をした。
(……そうだ。俺はまだ何もやれていない。彼らは俺達がガイベラスに集中できるように、他の作業を引き受けてくれたんだ……)
そして目を開けた優真は「すまなかった」と一言だけ謝った。
「……ご主人様、もしかすると地下で暴れていた男は、ガイベラスの可能性が高いです」
いきなり横で静かに立っていたメイデンさんが、張りのない声でそう言ってきた。
「どういうことです?」
「……ご主人様の手駒が報告してくれた攻撃の特徴がよく似ています。……ガイベラスの能力は【操鎖】……鎖を何処からともなく召喚し、その鎖を操る能力」
「なるほど、確かによく似ているな。よし! 下へと向かおう。……それから、彼らは手駒じゃない。仲間だ。そこは間違えないでくれ」
「……ご主人様がそう言うのであれば以後気を付けます」
その言葉に頷き、優真が下へ向かおうとした時だった。
再び通信が入ってきた。相手はホムラからだった。
「ダンナ! ガイベラスの可能性がある奴を見つけた! 交戦中だからもう切る。早く来てくれ!」
切羽詰まった声でその台詞が放たれた。




