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18-6


「……どうしました? 隊長」

 いきなり立ち止まったキョウに疑問を抱いたカヤが聞いた。

 キョウがフードを取って耳をすませる。

「やっぱり……悲鳴が聞こえる。場所は……こっちだ」

 そう言ったキョウが指差した場所は、通り過ぎた道の方だった。

「もしかして仲間が?」

 その言葉で全員に緊張が走る。

「可能性はあるな……もしも仲間の場合は、見捨てる訳にはいかない。あっちは担当じゃないけど、そんなことを言ってる場合じゃないみたいだ!」

 そう言ったキョウは、9人の仲間を連れて声のした方に走り始めた。


 途中何度か曲がり角を曲がっていく。

 先頭を走る仲間に方向を指示していくと、変な匂いがした。

 鉄の匂いだった。そして何かが近付いてくる音が聞こえてきたと思った瞬間、先頭にいた仲間の体に鎖が巻き付かれた。


「回避行動!」

 キョウがその言葉を声で伝えた時には既に前方を走っていた3人に同じような鎖が巻き付かれていた。次の瞬間、4人の体は何かが砕かれる音と共に断末魔の悲鳴を上げ、脱力したように項垂れてしまった。


 数秒の時間で部隊の4人が再起不能になったのを見て、キョウと双子以外の3人が鎖の先に見えた人物の方に麻酔弾ではなく、普通の銃を取り出して発砲する。


「仲間の仇ーーっ!!」

「反撃じゃない! ここは一旦退避だ!!」

 キョウはそう指示するが、彼の指示に従わない仲間達3人は、弾を撃って、撃って、撃ちまくって……そして、鎖を体に通して、銃を持っていた腕をだらりと下ろし、動かなくなってしまった。

 双子の姉妹はその惨状を見て悲鳴をあげようとした。

 しかし、その前に口を手で押さえられ、体を引っ張られた。


 手で口を押さえられたまま、すぐ近くの曲がり角に引きずりこまれ、壁の側面に張り付いた双子姉妹は、音で先程の人物が何処かへ行ってしまうのを知った。

 そして、自分達の口を押さえていた少女二人は、手の持ち主を横目で見た。

 手の持ち主は、声を殺して泣いていた。


 足音が聞こえなくなると、二人の口を押さえていたキョウの手は緩められ、双子姉妹は腰を抜かしてしまった。

 しかし、キョウだけが目から流す涙を止めずにさっきの7人を見に行った。

 彼らはもはや、治療の必要がない体になっていた。

 キョウはその惨状に歯噛みしながら、インカムのマイクに通信を入れた。

「……こちら第1部隊のキョウです。第1部隊はカヤとマヤ以外の仲間を失いました。他の部隊の皆さんは気をつけてください。敵はよく見えませんでしたが、おそらく一人です。普通の兵士とは異なる格好をしていたので、おそらく将軍クラスです。接敵した場合は戦わないで逃げてください。敵は鎖で仲間を絞め殺したり、体を刺し殺したりしていました。くれぐれも気をつけてください」

『こちら優真だ。キョウ君とその双子ちゃんは怪我とかしてないか? 敵がまだ近くにいるなら俺が向かおうか?』

「いえ、先程の敵は上へ向かう階段の方へと向かいました。音から察するにおそらく上へ向かったと思われます。僕は大丈夫なのですが、二人は仲間の死ぬ間際を間近で見た精神的ショックで動けそうにないみたいです。出来れば近くの部隊と合流したいのですが……」

「こちらアオイです。そういうことであれば、王族救出部隊はキョウ隊長の元に集合致しましょう。よろしいですね?」

 その後、地下にいた他の部隊から了承したという反応が返ってきた。しかし、第4部隊だけが反応を示さなかった。

 そして、キョウ達がいる場所は第4部隊の担当区域だったことをキョウは思いだし、あの男が来た方向を青くした表情で見た。

 その震えた足で一歩、また一歩と歩を進め、そして角にたどり着いた瞬間、その光景が自分の視界に入る。


 強烈な吐き気に襲われながら、キョウは怒りでその吐き気を無理矢理押さえ込む。その怒りと悲しみを何処にもぶつけることができず、キョウは通信を開いた。

「……第4部隊の壊滅を……確認しました……」


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