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「ふむ……せっかくの良い気分が台無しだ。いったいどこの誰が、この地下で音を立てているのだ?」
ガイベラスは来た道を戻っていると、通路の奥が騒がしいのに気付いた。
「こっちから悲鳴が聞こえたぞ! こっちに王族がいるかもしれん! ……総員止まれ! 兵士だ! 敵兵士がいたぞ! 総員撃てー!!」
黒いローブで顔と体を隠した集団がガイベラスの視界に映り、先頭にいた女性の声がガイベラスの耳に入った直後、彼女達はいきなりガイベラス目掛けて発砲してきた。
しかし、黒いローブを着ていた集団の放った麻酔弾は、どこからともなく出てきた鎖に弾き落とされた。
「な……なに!?」
侵入者を冷めた眼差しで見るガイベラスは、その瞳を冷酷なものにした。
「いきなり何だ? この私を一般の兵士と同じ扱い? どこの誰かは知らんが身の程を知らんようだ……さっさと死ね……拘束!」
麻酔弾を弾き落とした鎖は、は拘束の合図で、全員の腕と足、首や体に巻き付いてしまう。
身動きが取れないままの黒いローブの集団に近付くガイベラスは、先頭の女性の首を掴む。
「貴様ら、いったい何者だ?」
「わ……我々はガイベラスを狙ってきた者、王族達の救出が目的だ……あなたには麻酔弾で一時的に眠ってもらおうとしていただけだ……」
何故かすんなりと喋り始めたことを疑問に思ったが、若い駒だったため、命が惜しいから情報を与えて見逃してもらおうという算段だと早々に判断した。
「ほほう。なるほどな……それで?」
「我々は王族を探しに来ただけだ。ユリスティナ皇女に協力を求められてな」
その情報は、ガイベラスにとって見逃せない内容だった。
「ユリスティナ皇女が? それで? 皇女はどこにおる?」
「上の方にいるアマミヤユウマ様なら知っておられるかもしれないけど、生憎私は知らない。これで充分だろ? 私達の敵はあくまでもガイベラスただ一人! 我々を解放してくれ!」
「……なぜ、私を殺そうとする輩を解放せねばならん」
その言葉で、隊長の女性は顔を真っ青にしていく。
「ま……まさか!?」
「情報提供感謝する。……絞めろ」
次の瞬間、断末魔の声が通路に響いた。
ガイベラスは服に付着した血を、汚物を見るような目で見た後、紅く染まった通路を歩くのであった。




