17-12
女神は、会議から6日というギリギリ期限までに間に合うタイミングで戻ってきた。
「ただいま優真君! 作戦の方はどんな感じだい?」
「おかえり。とりあえず女神が帰ってくるまでは、準備期間にしてたし問題ないよ。女神の答え次第では明日決行するつもりだったしね。……ところでそっちの女の子は誰?」
戻ってきた女神の傍らには、見たことがない少女が立っていた。その見慣れない少女は黒い修道服を着ており、あどけなさを残した童顔で、銀色の髪だった。
「うん。その話をするために、少し部屋を使わせてほしいんだけど、優真君以外は出ててもらえるかな?」
その言葉で食事の準備をしていたシルヴィとユリスティナ皇女は、火を消して廊下に出ていった。
「それで? 昼飯遅くなると、シェスカとファルナが駄々をこねるから簡潔に頼んでもいいか? 長ければ昼食食べた後で頼みたいんだが……」
「そうだね。私もお腹空いたし、早く終わらせよう。彼女はメイデンちゃんと言って、鉄の神の眷族筆頭を務めている。言うなれば、優真君やハナちゃんと同じ立場の子だよ。見た目は14歳の女子中学生みたいだけど、優真君より圧倒的に年上だからね?」
「……よろしく」
「よ……よろしく」
彼女の声はなんというか張りがないと表現するのに相応しいもので、声もあんまり大きくなかった。
「ん? 鉄の神って確か……」
「そう。鉄の神はガイベラスとかいう私を怒らせた奴が信仰していた神様だね」
「……もう信仰されていない」
「えっ?」
ぼそりと呟かれた言葉に優真は素っ頓狂な声を上げた。
「彼女の言った通り、ガイベラスとかいう奴は数年前から鉄の神を信仰していないんだ。そのため、永久追放されているそうだ。どうせ後10年程度の命なんだ……そう思って放置していたら、こんなことしているから、鉄ちゃんが顔を真っ青にしちゃってさ~。そんでメイデンちゃんを貸してくれたって訳~」
「な……なるほど……要するに俺達の助っ人ってことか?」
「そういう解釈で構わない。……だが、奴を殺すのは私の仕事。……邪魔するなら容赦はしない……」
「俺が相手するつもりだったんだけど……」
「……こっちも遊びでやってる訳じゃない。裏切り者の始末を他の眷族に渡せば、こっちの立場が危うくなる。それにそっちの目的はうちの裏切り者が捕らえた王族の救出でしょ? そっちは興味無いから好きにすればいい……」
銀髪の少女は顔色を変えずに淡々と答えてくる。
「……それもそうだな。なら、明日はよろしく頼む」
優真は出来るだけフレンドリーに接しようとしたのだが、メイデンという少女は、優真が差し出した手を見てから、設置されていたソファーに座って寝息を立て始めた。
(……眷族っていろんな奴がいるんだなぁ……ハナさん基準で考えるのやめとこ)
新しい眷族に出会った優真は、眷族は基本的に自分勝手というのを学んだ。




