17-10
「待ってくれダンナ!」
話が終わったタイミングで、何かを考え込んでいたホムラが俺を呼び止めた。
「なに?」
「その作戦に我々も加えてはくれないか?」
「……我々ってのは、救世の使徒を指しているんだよな?」
「ああ」
「駄目だ」
「なんで!」
「危険すぎる。俺は子ども達を死地に赴かせる趣味はない! ましてや、お前達は関係ないだろ!」
「……我々も城に乗り込む計画を企てていたんだ……」
「はぁ? なんでお前らが?」
「……本当はダンナを巻き込まないように考えていたんだが、同じ目的なら、この際、ダンナに協力した方がいい気がするんだ」
そこまで言ったホムラは、他の人に聞かれないよう気を配ってくれたのか、小声でとある情報を伝えにきた。
「実は……数年前から、武器製造工場で子どもの数がかなり減少しているんだ。そしてその大半が10歳にも満たない幼い子どもたちなんだ」
その話を聞いた瞬間、俺はシルヴィにシェスカ達を連れていくように言って、万里華には、ユリスティナ皇女が滞在する部屋にユリスティナ皇女を案内してほしいと頼み、ホムラと二人っきりになった。
「……彼女達にはあまりそういうのに関わってほしくないからな。時間を取って悪かった。……それで? 理由はわかったのか?」
俺はホムラにソファーへ座るように促し、俺も対面のソファーに腰を掛ける。
「ああ、外から見ているだけじゃ全く分からなかったが、去年潜入捜査をさせてみてわかった。奴らは働いてる子どもたちに飯を与えてなかったんだ!」
「食事を? 子ども達には最低限の衣食住が保障されているんじゃないのか?」
「ああ、本来はそうなんだが、それが守られてなかったんだ! 幼い子どもは食べる量がただでさえ少ないというのに、1日1食しか与えられず、そのため、満足な仕事が出来ない。そのうえ、ノルマを達成出来なかった奴らに与える飯はないとぬかして、その少ない食事でさえ、減らしてやがった! そんな状態で重労働に耐えきれるはずがなく、幼い子どもたちは体を壊す。しかし、それすらも自業自得だとかぬかして工場長は放置していやがった。……それで命を落としていく子どもが後を絶たず、その工場長を取っ捕まえて、何故そうしたのかを聞きだしたら……右将軍ガイベラスの指示で、子ども達のために使う金をガイベラス自身や、支持してくれる貴族で着服しているそうなんだ!」
(……ふざけてるな。未来を担う子どもたちになんて酷い仕打ちを……ガイベラスとかいう野郎は……俺がこの手で……)
「……だ……ダンナ?」
目の前で怒りの炎を静かに燃やし続ける優真の表情を見て、ホムラは恐怖を感じた。だが、声を掛けると、先程までと同じように優しい顔を向けてくる。
「……わかった」
「い……いいのか?」
「こんなところでじっとなんてしていられないんだろ? 明日、詳しい打ち合わせをするから、幹部達を集めておいてくれ。昼前に俺も行く」
「わかった! 恩にきるよ!」
嬉しそうにそう言ったホムラは、家を出て、雨の降る町を駆けていった。
……さて……どうするか……。




