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17-3


「……とりあえずもうすぐ昼の時間だし……シルヴィ、二人の分もお願いできるか?」

「大丈夫ですよ。元々余分に作っておいたので」

「なら風呂入れて来るから、沸くまで少し待っててくれ。そんな濡れた格好じゃ風邪ひいちゃうからな」

 優真はそう言って風呂場の方に向かっていった。


 ◆ ◆ ◆


 ここのお風呂は蛇口をひねれば、簡単に沸かしてくれる。

 うちの女神様が言うには、俺以外にも異世界転生者がおり、こうしてこの世界で新たな人生を歩んでいく者が多いらしい。

 もちろん、眷族になれるかどうかはその人次第。

 そして、こういう電気や水道、便利な家電製品などは、神様が面白半分、暇潰し半分という理由で作っていったものだそうだ。

『人間共にできて神に作れぬもの無し!』

 これが神様達のモットーらしく、日本の技術を盗んで、こっちの世界で眷族達に作らせたらしい。

 ただ、村やカルアヴェルクのような田舎っぽいところには少なかったが、カナルヤという都会っぽいところは、景観以外が俺の知ってる日本に近い印象を受けた。

 ……まぁ、日本の方が幾分か便利な世の中であることにはかわりないのだが……。ぶっちゃけスマホが恋しい……。

 そういえば、服屋のコスプレ衣装も異世界人が原因で間違いないだろうと最初は思っていたのだが、実は思ってたのと少し違っていた。糸の神という神様がいて、その神様が日本の服を気に入って、こちらの世界でも売り始めたらしい。

 万里華曰く、あの店は糸の神を信仰している人達が作った店らしい。

 いろんな神様がいるんだな……。


 風呂の湯船にお湯がたまったのを見て、優真は蛇口をひねってお湯が出るのを止める。


(……そういえばなんか忘れているような……)

 濡れた足をタオルで拭きながら、そんなことを考えていた優真が、タオルを洗濯カゴに入れると、脱衣場から廊下に出た。

「あっ、やばっ!」

 そこに立っていた二人の少女を見て、優真は思い出した。


「なんで探しに来てくれないの!」

「お兄さん……僕と遊びたくないんだね」

 怒るシェスカと今にも泣きそうなファルナはそれぞれそんなことを言い始める。

 どうしたら、この危機を乗りきれるだろうか。このままでは、二度と俺を遊びに誘ってくれなくなる可能性すらある!

 保育士の仕事が出来ない今、子どもと接する機会は彼女達と遊ぶか、『救世の使徒』の本拠地がある地下に向かう必要がある。後者は彼女達も指名手配されているため、俺が出入りするのは避けた方がいいと思うから、あまり出向けない。

 こうなったら……全力で誤魔化すしかない!


「……シェスカとファルナ見~つけた!」

 俺はあえてそう言ってみた。

 そして、その言葉を聞いた瞬間、シェスカとファルナが驚いたような顔をこちらに向けてくる。

「ずるいよお兄ちゃん!」

「まだかくれんぼ終わりなんて言ってないし~。シェスカ達隠れるのうまいからな~。あえて探さないでシェスカ達を誘き寄せる作戦だったのさ。……だからファルナ、お兄ちゃんはファルナと遊びたくないなんて思ってないよ」

 俺はファルナの頭を軽く撫でる。すると、ファルナは不安そうな瞳で俺を見つめてくる。

「……ほんと?」

「本当だよ」

「良かった……。僕ね……お兄さんに嫌われちゃったかと思ってた……」

「そんな訳ないだろ? ファルナのことは大好きだから、変な心配はしなくていいよ」

「うん! それじゃあ次は誰が鬼やる?」

 泣きそうだった瞳は、その言葉を放った時には楽しそうな瞳になっていた。

「かくれんぼの続きをしたいのは山々なんだけど、もうすぐお昼ごはんになるから、今日はもうおしまいな」

「今日のごはんなに~?」

 先程までずるいと連呼していたシェスカがお昼ごはんという言葉を聞いた瞬間、目を輝かせて聞いてきた。

「カレーなんだってさ」

「カレーって美味しい?」

「美味しいぞ~。誰が作っても大抵美味しいけど、シルヴィが作るんだから超超美味しいぞ~」

「やった~シェスカ一番乗り~!」

「ずるいシェスカ! 僕の方が早く行く!」


 なんとか危機を脱した優真は、彼女達と同じようにリビングへと向かった。


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