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優真が『救世の使徒』のアジトがある地下街に向かった後、今まで寝ぼけていたシェスカが、わがままを言いながら暴れていた。
「嫌だ嫌だ嫌だ~! シェスカも外にお出かけするもん! クレープ屋さんに行くもん!」
「もう……言うことを聞いてよシェスカ……外は危ないから行っちゃ駄目だってユーマさんに教えられたでしょ?」
「や~だ~! ファルナお姉さんにもクレープ食べさせてあげるんだもん!」
そんなことを言いながら姉のシルヴィを困らせていたシェスカは、絶対に譲る気がないとわかるくらい駄々をこねていた。
「僕……大丈夫……クレープ食べてみたいけど……お姉さん達守らないと……だから平気……シェスカありがと」
ぎこちなくではあるが、シェスカに伝わるように人間の言葉で喋るファルナの表情には、明らかに我慢しているのが見てとれた。
「じゃあ私と一緒にお出かけしよっか? ファルナちゃんも私と一緒なら文句ないでしょ?」
「いいんですかマリカさん? ユーマさんは留守番しとくように言ってたんですよ? 勝手に外へ行ったのをユーマさんが知ったら……」
「知られなきゃ大丈夫なんじゃない? 大丈夫大丈夫私が許可するよ! マリちゃんは異世界ってやつを思う存分堪能してきなさい! 後、私はイチゴのやつでよろ~。シルヴィちゃんは前回と同じやつだって~」
「かしこまり~!」
「えっ!? そんなこと言ってませんよ!?」
「……まぁ、シルヴィちゃんは私とお留守番になるけど大丈夫でしょ?」
「は……はぁ」
「じゃあ優真君にばれないようにクレープを食べるぞ~」
「「お~!」」
「だ……大丈夫かな? シルヴィお姉さん」
不安そうな顔を見せるファルナは、諦めたように項垂れているシルヴィの近くに行ってそう聞いた。
「女神様のおっしゃったことに信仰者ごときの私がどうにか出来る訳ないですよ……はぁ……ユーマさんになんと言ったら……」
そんなこんなで外に行く準備を終えた万里華、シェスカ、ファルナの3人は、商店街に向かった。




