16-2
朝食を食べ終えた俺は、一人で『救世の使徒』のアジトがある地下街にやって来ていた。
復興の手伝いをしにきたのだが、思ったよりも順調にいっている様子だった。
シルヴィや万里華達には家から出ないよう釘を刺して、ファルナには女神が勝手に何処かへいかないように見張るようお願いしておいた。
ミハエラさんという天使も俺の意見に同意してくれたため、女神は頬を膨らませていたものの、すぐに同意してくれた。
俺の案内をかってくれたのはキョウという茶髪の少年だった。昨日俺を襲ってきたものの、なかなかの好青年で、気を配れるうえに、しっかりと礼儀がなっていて、女神も裏表のない人間は珍しいと絶賛していた。しかも、イケメン風ではなく、可愛い感じの美少年ときたもんだから、俺の中でもかなり評価が高い。
しかも、さっき聞いた話によると、実力に関しても『救世の使徒』のナンバー3らしい。
年は俺より少し下でまだ18くらいなんだそうだ。
正直、16歳くらいだと思ってた……。
ただ、そんな彼にも一つ文句を言いたいことがあるのだ。
キョウ君は鈍感過ぎるのだ。
お付きの二人はキョウを慕っている様子が先程からひしひしと伝わってくるうえに、一緒にいる俺を邪魔者のように見てくる。
「なぁ……やっぱり一人で見て回るから案内とかはいらないぞ?」
彼女達の気持ちを汲み取って、その言葉を伝えた。本当は案内役がいてくれる方がいいんだけど、少女の恋路を邪魔するくらいなら、一人で見て回った方がましだ。
二人の少女をちらりと横目で見てみれば、嬉しそうな顔を隠そうともしていない。
昨日は俺のことを羨ましいとか言ってたけど、こいつ自身も充分じゃないの?
「いえ、そんなわけにはいきません! あなた様は女神様が遣わせてくださった英雄です! そんな方をぞんざいな扱いにするのは我々の意義に反しています! マヤ、カヤ! 君たちもそう思うだろ?」
いきなり質問を振られた二人の少女はうろたえ始め、嬉しそうだった表情が悲しそうになっていく。
「そ……そうですね……」
「え……英雄様を……邪見にするのは……間違ってます……」
弱々しく答えた二人だったが、キョウ君はそんな二人の答えを聞いて、大変満足そうな笑みを浮かべ、こちらに向けてきた。
「そういうことですので気になさらないでください!」
(いや無理だろ!! ……本当にごめんね! 君たちの邪魔をするつもりはなかったんだ! ……ていうかこいつ、よくこんな状態の二人を見て、曇りなき眼でこっち見れるなぁ……)
そんなことを思いつつ、もはや涙目になっている二人を連れて、俺達はホムラのところに向かった。




