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ファルナの戦い方は、単調な攻撃が多かった。
しかしその分、一発一発の威力が普通のモンスターとは桁違いで、おまけにスピードもあるため、単調な攻撃であっても避けることや防ぐことが容易ではなかった。
長く鋭い爪でのひっかく攻撃は、当たっただけで三枚に下ろされるんじゃないかと思うくらい、意図も容易く家を切り裂き、地面を深々と抉る。
咆哮による攻撃は、まともに食らった瞬間、内臓の全てを破裂させるのではないかと思ってしまう程の威力。
長く細い尻尾は、鞭のようにしなり、叩きつけられれば抵抗することすら許されぬまま、地面にクレーターを作ることになるだろう。
しかし、それらの恐ろしい攻撃も当たらなければ意味はない。
それら全ての攻撃を俺は出来るだけ最低限の被害で済むように避けていく。
女神に攻撃は向けさせない。例え向いたとしても俺が全力で防ぐ。
なぜなら、殴らないと決めた今、ファルナを助けるには、女神の作る眷族の輪という道具に頼るしかないのだから。
「まぁ……ミストヘルトータスに比べれば猫とじゃれつくようなもんだろ」
「あはは……ミストヘルトータスより彼女が劣るって? それは面白い冗談か何かか? あんな眷族探しに使われるペットなんかより、ファルナちゃんの方がよっぽど強いに決まってるよ」
「……ということは、まだ向こうも全力じゃないって訳か……危ない危ない気を引き締めないとな」
「……よくわかってるじゃん。……でもまぁ少しくらいは自信持っていいよ。君は確実に強くなってる。それこそ半年前の君とは比べ物にならないくらいね」
「……なんて? 咆哮のせいでよく聞こえなかったんだけど!」
「……集中して戦えバカタレ! って言ったんだよ!」
「はいはい……何怒ってんのあいつ……」
優真は咆哮を空中に跳ぶことで回避してみせ、ファルナの動きをよく観察しながら翻弄している。
その速さは異常で、神獣化したファルナでさえ、目で捉えられていなかった。




