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「いったいどこへ行くっていうんだい?」
「……あんたには関係無いだろ?」
ああ、嫌だな。……多分、今の俺は介抱してくれた人に嫌な目を向けてるんだろうな。
さっさとここから立ち去らせてくれよ。これ以上生き恥なんか晒したくないんだよ。
「悪いが、お前さんをここから立ち去らせる訳にはいかない。あんたには、一緒に村まで来てもらう」
「ふざけんなよ婆さん。さっきの見て、はい、そうですか。わかりました、従います、なんて言うわけないだろ!」
「そりゃそうだろう。しかし、お前さんに事情があるようにわしらにはわしらの事情がある。お前さんをここから逃がすことはできん。もし来ないというのなら」
目の前に立つ婆さんが、左手を上げると、先程の男たちが、再びこちらに向けて矢をつがえた弓を構えてきた。
「悪いが、今度は本当に命をとらせてもらうよ」
………ああくそ。俺に選択権なんて無いって訳ね。
こうなれば、タッチパネルだけが頼りだ。
なんか、ここから逃げ出す方法ってないのか?
『ありませんね。あなたは絶体絶命です。それと、現在女神様は入浴中ですので、邪魔しないでくれとのことです。
P.S死んでも蘇生なんてしないのでお気をつけください。』
あのクソビッチ、肝心な時に超使えね~!
「おばあちゃん、もうやめて! これ以上、この人に変なことしないで!」
「……なんでそんなことしてるわけ?」
婆さんが何かを言う前に、俺がそう言うと、シルヴィさんは驚いた表情をこちらに向けてきた。
「あんたもあいつらと同じで、俺のことをどうせ、自分たちの平和な生活を脅かす敵だと思ってるんだろ?」
シルヴィさんは、何かを言いかえそうとしていたが、俺の目を見ると、びくついて、黙ってしまった。
「ちなみにその子の名誉のために言っておくが、今回の件にその子は関与しておらぬよ。わし個人でこうなるように仕組んだ。だからそのような目でその子を見てやるな」
俺は、びくついている彼女から視線を外し、婆さんの方を見て舌打ちをする。
この時の俺は、あまり体調が優れていなかった。
3日前に全力で熊から逃げたせいで、足を動かすのがやっとだし、さっきサンドイッチをもらうまで何も食べてなかったせいか、あまり力もわいてこない。
正直抵抗する余力もなかった。
俺は抵抗することをやめ、そいつらに大人しくついていくことにした。




