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正直な感想を言わせてもらうと、この事態は俺の予想外だった。
「女神様! アマミヤユウマ様! こちらが我ら『救世の使徒』が本拠地にしている場所でございます!」
少し前まで俺に対して蔑むような視線を向けていた二人の少女が、俺の両手を引っ張りながら案内してくれた場所は、一軒の家屋だった。
その家屋は活気ある商店街からかなり離れた位置にあった。あまり大きくはなく、むしろ辺り一帯が廃墟化していたのもあって、ぼろぼろの見た目から今にも倒れるんじゃないかと思えてくる。
まだ明るい時間帯だというのに、雲がかかってきたのもあり、暗い雰囲気を漂わせている。
その家に半強制的に迎え入れられた俺達は、案内されるがまま、地下への扉を開き、中に入っていく。そして階段を降りきると最後の扉が開かれた。
その扉の先にはボロ小屋の見た目からは想像もつかないような明るい地下街が広がっていた。
さて何故こんなことになっているのかは、先程女神が自分の正体を明かしたのが原因だった。
驚くべきことに、彼らは子どもを司る女神の信者だったのだ。
その結果、彼らが『救世の使徒』という組織であることを教えられ、何故かアジトに案内されるという話になったのだ。
絶対ろくなことになる気がしないうえに、今日はシルヴィの誕生日を祝おうと思っていたため、断ろうとしたのだが、女神は何故か行く気になっていた。だからといって俺が行く必要性はないため、勝手にすればいいと思っていた。
「帰りたいなら帰ればいいよ。君がいない間に、マリちゃんから君の黒歴史を酒の肴にするから」
帰ろうと言った瞬間、女神にそんなことを言われた挙げ句、
「ごめん優真……私……神の命令には従わないといけない決まりになってて……私の力じゃどうしようもないんだよね……」
という万里華の発言が決め手となり、このような結果となったのだった。
俺の隣を歩いていたのは、先程俺に襲いかかってきた顔を布で隠していた少女だった。
一言も発することなく、その隣を誰にも譲らなかった。
おそらく、俺を危険視しての行動だと思われるが、連行されているみたいで少し息苦しかった。
そして、他の皆とは少し離れた位置に俺は立っており、歩き疲れたからか眠ってしまったシェスカが唯一俺の背中で寝息を立てているくらいだ。
シルヴィは頬を少し膨らませていたが、皆の安全を考えるなら彼女達のしたいようにさせた方がいいと感じたのでそう説得した。
渋々納得してくれたシルヴィが少し心配になったが、万里華に「絶対守るから安心して」と言われ、万里華を信用することにした。
地下街に着いた瞬間、顔を布で隠していた少女が、顔に巻いていた布を取り始めた。
金色の瞳、炎のように赤い髪、しかし何よりも目を引いたのは、布越しではよくわからなかった左の眉から頬にかけてまで縦に伸びた細い傷だった。
「私がこの『救世の使徒』でリーダーを務めているホムラだ。学がないから敬語とか使えねぇけど……よろしく頼む」




