15-4
「よくも仲間達を……絶対に許さないぞ!」
「……声がこもっててよく聞き取れないな……その布取ったら? ……ってそんな簡単に取るんならしてないか……」
声がこもってて聞き取り難かったものの、彼女が怒っていることだけはわかった。
彼女がはいている暗い緑のスカートとその身長の低さからおそらく女性……しかも15歳は越えていないと思われる。
だが、走りながら相手の額を狙うことができる銃の腕と、その身のこなしには、油断できないものを感じた。
威力よりも素早さで相手を殺す戦い方、長引かせればこっちに軍配があがるとは思うが、憲兵とかに見つかるとこっちがまずい。さっさと戦意を奪った方が良さそうだ。
銃をこちらに向けた顔を隠した少女は、容赦なく引き金を引き、2発の銃弾を優真目掛けて発泡する。
しかし、警戒を怠っていない優真には、その銃弾が止まっているかのように錯覚する程遅く感じてしまった。
銃弾を無駄な動き無しで斬った優真。しかし、少女も効かないことがわかっていたかのように動きを止めることはなかった。
効かない銃をホルスターにしまい、近接戦闘に切り替え、敵の背後に回り込んだ少女は、その無防備な背中目掛けて剣を振るう。
だが、剣は空を切り裂き、その無防備だった青年の姿は目の前からなくなってしまう。
直後、足に衝撃を受けた少女は、バランスが取れずに転倒してしまう。
倒れる寸前、彼女の視界に体を低く屈めて、自分の足を蹴ってバランスを崩させた黒髪の青年が映る。
転倒して背中を強打し、呻き声を上げるが、すぐに立ち上がって優真との距離を取ろうとする。
しかし、既に手遅れだった。
「十華剣式、弐の型、白百合の舞い」
優真は突っ込んでいき、少女との距離をすぐに詰めていく。
しかし、真っ直ぐ突っ込んでくるのかと思われたその攻撃は、少女が視界に捉えた瞬間、不可解な動きに変わる。
不可解な動きはやがて、彼女の視界に映らなくなっていき、そこでようやく彼女は、彼が目の前にいないことを知った。
残像を残す程の速さで、優真は少女の視界から消えてみせたのだ。
次の瞬間、少女は右から殺気を感じた。
瞬時に振り向くとそこには、優真が既に攻撃モーションの状態に移行していた。
溜めているのか、まだ斬りかかってきていない。
その手に握られた剣は一つだけ、それさえ警戒しておけば問題ないと少女は考えるが、優真の横薙ぎを剣で防いだ瞬間、強い衝撃を受け、よろめいてしまう。
「受けたね……もう君に勝ち目はないよ」
「な……なに!?」
少女は剣を下ろした優真から目を離さないまま、衝撃で落としてしまった剣を拾おうとした。
だが、腕が痙攣してしまい、再び剣を落としてしまう。
それは少女にとって優真から無意識に目を離してしまうほどの衝撃的な出来事だった。
震える腕を左手で抑えながら、剣を拾おうとするが再び落とすだけで結果は変わらない。
さっきの攻撃を両手で剣を持って防いだせいで、左手もうまく使えなかった。
そして、焦りで動けない少女の首もとに剣が突きつけられ、勝敗は決した。




