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「いらっしゃいませ」
その決まり文句を営業スマイルで言ってきた女性店員は、俺の姿を見てそのスムーズな動きにぎこちない動きが混ざり始めた。
しかし、一応接客業において差別的な視線を向けるのはよろしくない行為だとわかっているのだろう。
その女性店員はぎこちなくなっている営業スマイルで、俺に話しかけてきた。
「お客様……こちらは女性専用の衣服店と表に書いてあったはずですが、お読みになられなかったのですか?」
「ええ……知ってますけど……」
「失礼かとは存じますが……そのような場所に男性一人で何のご用でしょうか?」
「……え?」
そのおかしな内容が気になったため、後ろを振り返って見てみるとそこには木の扉しかなかった。
「あれ……何してんだろ?」
木の扉を今度は内側から開いて見てみると、すぐそこでシルヴィが駄々をこねるシェスカに抵抗していた。
「私は外で待ってるから、シェスカとユーマさんだけで行けばいいじゃない」
「や~だ! お姉ちゃんも一緒に行くの!」
「私は可愛くないから……こんな場所に来たら恥ずかしいの! お願いだから手を放して……ってユーマさん!?」
シルヴィの視界にはジト目で二人を見続けている優真の姿が映った。
「早く入らないとお店の人にも迷惑かかるから早く来てくれないかな? それからシルヴィ……俺の傍を離れて別の場所に行っていいなんて俺は許可してないよ? 俺から離れてシルヴィが連れ去られたら……さすがの俺でも怒るからね?」
「は……はい。……ごめんなさい」
観念したように入ったシルヴィを見て、女性店員は優真に向けていた蔑むような目を改めた。
「いらっしゃいませ! 今日はどういったご用件でしょう?」
「……この二人に似合うような服を見繕うことってできますか?」
「はい大丈夫ですよ」
「それなら俺は適当に待たせてもらうから、二人はこの店員さんについていってくれる?」
「わかりました。……あの……よろしくお願いします」
「はい。お任せください!」
そのやり取りが行われた後、優真は目的のぶつを探しに店内を回るのであった。




