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14-1

 夕焼けが始まり、空が朱と金色に染まる。

 仕事を終えた人々が活気づく町の通り、そんな場所でも一際目立つ人物がいた。

 初めて見る人は隣にいる人とひそひそ話しだし、見たことのある人間は彼を見て、またあいつが狩りを終わらせて帰ってきたのかと、ぼやき始める。

 そんな町の人達を視界の隅で捉えながら歩く黒髪の青年は、億劫そうにため息をついた。

「……なんでこんな目立ってるんだろ……」

 そんなことを小声でぼやきながら、黒髪の青年は町の中でも一際大きい建物の冒険者ギルドに向かっていた。


 西部劇のバーとかでよく見るような木の扉を開けると、中にいた人物全員が優真の方を見始める。たむろしていたはずの彼らは優真の結果を聞くためだけに声を出さずに見続ける。

 そんな視線に晒され、優真は本当にやるかどうか迷った。

(ここでこれをやれば、もう後退することなんて出来ない。もう腹をくくるしかない)

「お待ちしておりましたアマミヤ様。……それで例の物は?」

 受付嬢のお姉さんは、世間話すら始めることなく本題に入ってきた。

「え……ええ、当然持参しております」

 その言葉でギルド内がどよめき始める。

 横を見てみれば、査定途中のギルド職員や冒険者までもが、こちらに注目している。

 優真は深呼吸して、展開したタッチパネルの画面を慣れた手つきで操作し、アイテムボックスから、入れていた物を取り出した。

 空間に穴が開き、そこから5メートルは越えるであろう巨大な熊が落とされた。

 その巨大な熊を見て息を呑む者達。やがて、奥からやって来たギルド職員がその熊を調べ始める。

「間違いありません! こいつは付近の村を荒らしていたタイラントグリズリーのペゲマルです!」

 その瞬間、この場にいた優真以外の全員が歓喜の声を上げた。


 ◆ ◆ ◆


 俺達がカナルヤ()に戻ってきてから数日が経った。

 この間にスティルマ大森林を抜けるかどうかという話になったが、それは延期になった。

 この前、俺がベラキファスというこの帝国の将軍が住んでいる屋敷に攻めこんだあの日、将軍ベラキファスが何者かの手によって殺されたという話を冒険者ギルドで知った。


 だがこれは、俺だけのせいという訳でもないみたいだ。

 むしろ、誰かが俺の後にベラキファスを襲ったということなのだろう。

 まぁ悪役の末路なんてろくでもないことが多いし、自業自得といったところだろう。

 ただ、そのせいで国境沿いの警備が厳重になり、他国への逃亡は不可能に近かった。

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