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一夜が明け、朝食をいただいた俺たち3人は、町に戻るため、聖域を出ることにした。
ここで長期間暮らしてはいかがかと、天使達をまとめる天使長から神の言葉を伝えられた。
だが、その提案は丁重にお断りさせてもらった。理由は単純に俺が気まずいし、精神的にもたないと思ったからだ。
意外というかなんというか、ハナさんは俺に対して普通に接してきた。朝起きた時も、朝食を食べた時も、普通に接してくる。
シルヴィと気まずい感じになっている様子も見受けられず、あまりにも自然過ぎて逆に疑わしく感じてしまう。
(……経験の差とかあって余裕なんだろうか?)
「またね! シルシル、シェスカっち~! 私はいつでも大歓迎だからね!」
別れの言葉を言いながら、シルヴィとシェスカにハグしているハナを見ながら、優真はそんなことを考えていた。
そんな考えに頭を悩ませていると、いつの間にかハナさんが目の前に立っていた。
シルヴィは何の気を利かせているのかシェスカを連れて紋章が刻まれた壁の方に行っていた。
「……昨日はごめんね。いや~酒が入ると歯止めが利かなくなっちゃってさ~。いろいろ迷惑かけちゃったよね……」
「いやまぁ……確かに迷惑はかけられたけど、どちらかといえば俺達のことでハナさんを巻き込んだってことだもんな。……こっちこそ悪かったな」
「……やっぱりユウタンは面白いね~。あんなことした私なんかに謝るなんて……やっぱり眷族としても変わってるよ」
「ほっとけ……眷族として未熟なことくらいわかってるよ」
「ううん! ユウタンはそのままでいいと思う! それがユウタンの個性で、他にはないところ……そっちのユウタンの方が私も好きだし!」
「ふ~ん…………はぁ!?」
「うん決めた!! ……今度こそはちゃんとした形で初めてをもらってもらうんだ!」
なんかどんどんおかしな方向に話が進んでいる気がするのは気のせいかな? っていうか全然反省してくれてねぇ!
「…………うん? なぁ……初めてをもらうんじゃなくて初めてをもらってもらうって言った?」
「言ったよ?」
「……なんかおかしくね?」
「なんもおかしくないよ? だって私経験ないし。なんならちゅーするのも昨夜が初めてだったよ?」
「…………はぁ!? おまっ! ……好きでもない相手にファーストキスあげたのか!?」
「まぁ……そうなるかな? ……でも別にいいよ」
「軽っ!? 何も良くないだろ! そういうのは好きな相手にしたいって願うもんだろ?」
「……うん。だからいいんだよ。…………私は好きな人に初めてをあげられたんだから……」
彼女が薄く染めた頬で言ったその言葉は優真の顔を上気させるのには充分な破壊力を宿していた。
呆気にとられている俺をハナさんがくすりと笑って俺に抱きついてくる。そのあどけなさの残る顔立ちの少女は、俺の耳に形の良い唇を近付けて、こう囁いてきた。
「……いつでも待ってるからね。……未来の旦那様」
その言葉に何も言い返すことが出来ず、離れた彼女に誘導されて、シルヴィ達のところに戻った。
「……大丈夫ですかユーマさん? 顔が真っ赤ですけど……」
「だ……大丈夫……だと思う……」
心配してくれているシルヴィの言葉にも結局曖昧な返事しか出来ず、俺達は壁を通じて外の世界に戻った。
次回14章なんでせっかくだし、きりが良いところまで出したかったので今日は3話投稿しました。




