13-7
その日はいつもより眠りにつくのが困難だったこともあり、とてもいい目覚めとは言えなかった。
いきなり体に違和感を感じたことで、夢の世界から現実に戻ってきていた。
目を開けるのが気だるかった俺は、とりあえず体を起こして電気をつけて一度目を覚まそうと考えた。
だが、何故か体を動かそうとしても動かせなかった。
(……金縛り?)
そんな考えに至った俺はやむなく重い瞼を開けることにしたのだが、驚くべきことに、ぼやける視界の中で一つの人影を見た。
驚いたとはいったものの、それは最初だけで、脳が働き始めたことで、どうせいつもみたいにシェスカが俺の部屋に入って布団に潜り込もうとしているのだと思えた。
しかし、目を開き続けていると、徐々にその人影の正体が露になっていく。
保安灯の小さな明かりで見えたその姿は金縛りよりもあり得ないと思えた人物だった。
艶やかな桃色の髪。透き通ったような白い肌。空のように葵い瞳がこちらを見つめている。
(……ハナさん? ……なんでこんなとこに?)
その少女は布団を被る俺の上で四つん這いになっており、どうやらそのせいで、体が動かせないのだとわかった。
今日見知ったばかりの相手が寝ている俺の上で何がしたいのかは不明だが、敵意や殺意があれば【勇気】が発動するから、夜襲ではないだろう。
一瞬夢か現実かわからなくなるが、彼女の荒い吐息がどうも生々しいものだったため、夢とは思えなかった。
「…………なんで俺を取り押さえているんだ?」
「あれ……起きちゃったんだ?」
俺の質問にわざとらしく残念ぶった仕草を見せる彼女がぼやいた。
その様子からどうやら夜襲では無いのだと思えた。
「……それは質問の答えになってないだろ?」
「……ユウタンってさ……まだシルシルとはやってないんでしょ?」
…………は?
「だからさ……初めて同士でいきなりやるよりもさ……私で練習するってのはどうかな?」
前言撤回、夜襲だった。
いきなり耳元で囁いてきたその言葉に、顔が上気したように熱くなる。よくよく見て見れば、彼女の頬は赤く染まっており、花の甘い香りとは別にアルコールの匂いもした。
(まさか酔ってんのか!?)
目も虚ろになっており、着ている浴衣もはだけて、その白い肌を露出している彼女の状態がどう見ても素面とは思えなかった。
そういえば、俺のところにも天使が来て、神酒を振る舞ってくれたな。かなりアルコールが強かったから、あんまり飲まなかったけど…………そういえばハナさん……同じようなの滅茶苦茶飲んでたな。
まさか酔って襲いにくるとは、思ってもみなかった……ってそんな呑気なこと言ってる場合じゃねぇ!!
こんなところをここの奴らに見られたら……間違いなく俺は敵対視される。
それだけじゃないな。シルヴィに見られた場合…………終わるな……俺の人生……。




