表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
128/970

13-6

 かなり遅れましたが、やっと圏外エリアから抜けたので許してください。

 俺が部屋でシェスカの遊び相手をやっていると、女将さんみたいな格好をした天使が襖を開けて入ってきた。

 シェスカと違って確認をとって入ってきた天使は、食事を大部屋に用意したことを俺達に伝えると綺麗な所作で退室した。


 その言葉を聞いた俺とシェスカは教えてもらっていた大部屋に向かった。

 そこはかなり広い空間だった。一面に敷かれた畳と、木で出来た高さの低い長テーブル。椅子ではなく座布団という和の要素が詰まった個室と同じ感じの部屋だった。数人で食事を行うスペースに数人の天使が忙しく動いている。

 ただ、並べられた食事に関しては和の要素がまったくなく、久しぶりに刺身や天ぷらが食べたくなっていた俺的には少しだけ残念ではあった。


 ただ、まだ食事は始めない。

 シルヴィがまだ来ていないのだ。

 先程から目の前にある料理を見続け、よだれを垂らしている桃色の髪の少女(ハナさん)も、空腹の音を鳴らしながら待っている。

 俺とシェスカも座布団に座り、シルヴィを待つことにした。

 シェスカからの空腹を訴える眼差しは辛かったが、ハナさんも待ってくれているし、せっかくなら皆で食べたかった。

 だが、シルヴィはいくら待ってもなかなか来なかった。


「遅いな……シルヴィ」

「ねぇお兄ちゃん……お腹減った~」

 俺がぼやくとシェスカがそう言ってきたため、さすがに心配になってきた。

「……なら、俺がちょっと連れてくるよ」

 そう言って立ち上がった俺は、食事の準備をしている天使にシルヴィがいる部屋の場所を聞いて、その場所へと向かった。


 ◆ ◆ ◆


 部屋へ向かうとシルヴィの部屋には鍵がかかっておらず、むしろ少しだけ開いていた。

 無用心だなとは思ったが、よくよく考えればこの旅館のような形をした家には俺以外の男もいないため、そこまで警戒する必要もないみたいだ。


「お~いシルヴィ、いるか~?」

 その隙間から少しだけ覗きたい欲求と戦いながら、俺はシルヴィを呼んだ。

 部屋の前で声をかけると数秒の後、中から返事があった。

「すいません……少し考え事をしてまして……今行きます」

 中で慌ただしい音を立てながら、そう返事をしてきたため、俺は廊下で待つことにした。

「ああ、シェスカがぐずりだす前にさっさと向かおう」

「ふふっ、そうですね。早く向かいましょう」

 彼女はそう言って部屋の襖を開け、浴衣姿で出てきた。


「……どうかしました?」

「……いや、なんでもない」

 言えない。その湯上がり姿の色香に見とれてたなんて、恥ずかしくて言えない。

 普段とは違う魅力を放つ彼女にどぎまぎしながら、俺は彼女を先導して二人の待つ大部屋に向かった。


 ◆ ◆ ◆


 先程までの変な雰囲気が嘘かのように、シルヴィは元気になっていた。いや、元気に振る舞おうとしていた。いやに料理を褒めるし、話を自分からきりだしたりと、普段の彼女には見られないような行動が数多く見られた。

 そんな彼女の姿が、何かを振りきろうとしているようにも見えた。


 美味しい料理だったはずなのに、彼女が心配なあまり、堪能できなかった。

 結局夕飯を食べ終わった俺たちはそれぞれの自室に戻った。

 戻る前にシルヴィから話を聞いた方がいいかと思ったが、その一歩を踏み出す勇気を俺は持っていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ