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12-4

 優真の肉体には傷どころか、血の1滴すらついてはいなかった。

 あれほど酷かった傷が一夜にして完治しているという現象をシルヴィは直接見ても信じられず、自分の席から立って優真の近くに寄ってまじまじと見始める。

 

 彼女の吐息が肌に当たる感覚で優真は顔を上気させていく。

 そんなことなど露知らず、シルヴィはこの半年で逞しくなった肌に直接手で触れ、本当に治っているのかを確かめた。

 その肌には昨日自分が刺してしまった傷もなく、開いてしまった傷も全部跡形もなく消えていた。


「…………いったいどういうことなんでしょうか? ……私の見立てでは最低でも2週間は絶対安静の傷だったんですが……」

 医療知識はまったく無くても祖母からある程度の医療技術を習っていたシルヴィには、ある程度の治療はできた。

 それでも、ライアンとは違って神の魔法を使用した訳ではないため、簡単には治らない。

 だからこそ、今目の前で起きていることが現実とは到底思えなかった。

「……なぁ……そろそろいいか? さすがにそろそろ恥ずかしすぎて頭がパンクしそう」

 その言葉を聞いたシルヴィが顔を上に向けると、恥ずかしそうに顔を真っ赤にした優真が人差し指で頬を掻いていた。

 その顔を見て自分が今やっている行動に頬を赤くして立ち上がって頭を下げる。

「す……すいません! ついペタペタと触ってしまって! で……でもなんで治っているんですか?」

「さぁ?」

 優真はシャツを着直してボタンを付けながら正直に答えた。

「さぁ? って…………まぁいいです。どうやら本当に傷もないみたいですし……ユーマさんがよろしいのであれば今日の昼にでも大丈夫でしょうか? シェスカもそれでいい?」

「うん! シェスカもお姉ちゃんとお兄ちゃんと一緒にお出かけするー!」

「なら決まりだな。昼の11時頃に出発するからそのつもりで準備しといてくれ」

 口の周りに白い液体を付けたシェスカが返事するのを見た優真がそう言うと二人からの反対意見は出なかった。

 こうして優真達3人は再びスティルマ大森林に入ることとなった。

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