12-2
シルヴィには未だに村の件を伝えていない。
シルベスタさんの件は彼女の目の前で起こった出来事だったから伝えずに済んだ。
だが、村からの追放や俺が行った行為は間違いなく彼女を悲しませる結果になってしまう。
笑顔を浮かべている彼女にこの事実を伝えなくてはならないと思うと胸が痛む。
勝手なことをしたから怒られるかもしれない。
自分のせいで俺まで巻き込んだと言って傷つくかもしれない。
シルヴィなら後者の方が可能性は高い。
今のシルヴィにこれ以上負担をかけたくないと思うと結局昨日は言えなかった。
だが、早めに言わなければシルヴィに隠しごとを続けることで関係悪化さえあり得る。
それはなんとしても避けたい。
「あ……あのさ」
「そういえばもうすぐご飯ができますよ。すいませんが、私はまだ支度があるので、ユーマさんはシェスカを起こしてきてもらえませんか?」
優真が意を決して話を切りだそうと思った瞬間、シルヴィが重ねるようなタイミングでそう言ってきた。
「…………ああ、わかった」
出鼻を挫かれたことで、優真にはそれ以上何かを言うことが出来なかった。
「ユーマさん? 何か言おうとしていませんでした?」
背を向けた優真を見て、シルヴィはタイミング悪く重ねてしまったことを申し訳なく思いつつ改めて聞こうとした。
「……いや、今話すことじゃないみたいだし……とりあえず今は勘弁してくれ」
そう言いながら、優真はその部屋を後にした。
◆ ◆ ◆
シェスカを起こしてから、俺たちは朝食の席についた。
朝食はパンとシチュー、こっちの世界では一般的な朝食だが……食料なんてそもそもあったか?
「……なぁシルヴィ……ここって昨日初めて来たうえに、食料買ってなかったよね? 昨日の食事もそうだったけど、いったいどうしたの?」
「あれ? ユーマさんはご存知なかったのですか? 奥の食料庫みたいな場所に、食材が完璧な状態で保管されていましたよ?」
そんなことをさも当然であるかのように言っているけど、ここってハルマハラさんが長期間放置していた家だよね? …………なんで食材が置いてあんの?
そんな疑問を率直に彼女へ尋ねると、シルヴィもわからない様子だった。
(ハルマハラさんに聞きたいところだけど……村に立ち入るの禁止されてるんだよな~……もしも安全でない食料があった場合どうにかしたいから早めに聞いておきたいんだけど……どうするかな~……)
「あ……あのユーマさん……少しお願いしたいことがあるのですが……いいですか?」
そんなことを俺が考えていると、頭を抱える俺に対してシルヴィが何かを切りだそうとしていた。




