5話 神威城塞
『なぜ、『神威城塞』の門が……』
「ルフス。いいから、来て」
私が急かすと、ルフスは渋々と言ったようにスキルを発動させる。
瞬間、ルフスが輝き始め、巨躯は白光に包まれる。
私はあまりの眩しさに目を細め、光が消えるまで待機した。
「これで満足じゃろう? ネロ」
暫くの間を空けて光が消失すると、1人の少女が立っていた。
頭から伸びる2本の黒い角と、腰の辺りから生えている長い尻尾。
頭髪は赤く、服は黒と金を基調としたチャイナドレス。
「えぇ、大丈夫よ。あと、ソロモンをよろしくね」
私はそう言って、花園の中央にある城を目指して歩き始める。
ルフスは片手でソロモンを担ぎ上げ、周囲の景色を眺めながら歩いてくる。
「……のぅ、ネロ。お主が宝物のように大切にする少年は、何者なのじゃ?」
「そうね。簡単に言うなら……私の全てを捧げられる御方」
私はルフスに向かって、誂うような笑いを浮かべた。
けれど、ルフスは興味がないとでも言うように受け流された。
「そういうものか。ところで、肝心なところは答えてないようじゃが?」
「あ……着いたわ。その話は、次の機会にでも」
私は話を逸らして、門をくぐり扉の前に立つ。
すると白亜の城が白銀の光に包まれ、重厚感のある扉がゆっくりと開かれる。
そこからは、噎せ返りそうになるほどの濃密な神威が充満している。
「うっ……」
私はなんとか吐血しそうになるのを堪える。
神威から意識を逸らすために、私はルフスへ視線を移す。
「……馬鹿な。これほどの神秘が、まだ残っていたのか!?」
ルフスは目を輝かせながら、そんなことを叫んでいた。
そもそも神秘、あるいは神威が残って居場所などいくらでもある。
ここ───〘人間界〙にはほぼ残っていないけれど。
そうでなければ、世界中にあると言っていい。
「さぁ、中に入るわよ。ルフス」
私が1歩踏み出すと、城内にも白銀の光が満ち溢れている。
シャンデリアやカーペットも神威をまとっていて、室内が輝いているように感じる。
<───『創造主』を認証しました>
暫く玄関ホールを眺めていると、唐突に無機質な声が脳内に響く。
同時に、玄関ホールのシャンデリアが淡く柔らかな光を放つ。
それを皮切りに廊下や階段、2階3階と城全体の照明に明かりが灯っていく。
「おぉ……! 神威を抜きにしても、この城は豪華じゃのぉ」
「ルフス、最上階の部屋にお兄ちゃんを連れて行って、目が覚めるまで面倒を見ておいて」
私はそう言うと、ルフスは担ぎ上げていたソロモンを地面に落とし、テオス様を抱えた。
ソロモンは地面に落とされたことを良いことに、這って逃げようとしていた。
私はそんな芋虫のように這いずり回っているソロモンを拘束している樹木を掴んだ。
「私は輩下に連絡することがあるので、一旦帰りますね」
私はルフスにそう伝えて、私はソロモンと一緒に転移した。
視界が純白に染まり、若干の浮遊感が私を襲う。
数秒後には浮遊感も消え去った状態で、転移することができた。
* * *
儂は少年を抱えて、最上階へ繋がる階段を登る。
「まったく……お主は何者なのじゃ?」
儂は眠りこける少年に向けて、思わず声を漏らす。
ネロがあれほどまで気にかけ敬愛する存在。
好奇心に負けてしまい、儂はスキルを発動させた。
「【解析鑑定】」
スキルを発動したことで、半透明の板が視界に表示される。
儂は部屋の扉を開けたところで、立ち止まった。
半透明の板に書かれている内容に儂は目を疑った。
─────────
名前:テオス
技巧:1
種族:神霊
職業:───
魔力:<混沌>
能力:■■■■
■■■■
魔術:炎系統魔術
水系統魔術
地系統魔術
風系統魔術
雷系統魔術
光系統魔術
闇系統魔術
音系統魔術
時空系統魔術
無彩系統魔術
耐性:現象無効
称号:[■■■]
─────────
「ど、どういうことじゃ……儂のスキルでも見抜けないスキルじゃと?」
それだけならまだ良かった。
じゃが、少年の種族が神霊となっておる。
儂を騙せるほどの技量があるとも思えん。
そもそも、気配を消すということをしておらんかった。
「……そういうことか。ネロめ、こうなることが分かっていたな。でなければ、あのタイミングで儂をここに呼ぶことなど不可能じゃからの」
豪華な装飾が施された部屋で、ネロに対する愚痴を呟く。
だが、神の転生体である少年をそっと寝かせる。
儂は少年を起こさぬよう注意しながら、ベッドに腰掛けた。
「ふぅ……」
ネロが帰ってくるまでの間、儂は一息つくことにした。
神の転生体───
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