232話 鶏ガラスープ
「う〜ん……」
私は唸りながら、タコライスに合うスープを思案する。
そして、以前リル様に狩られた蛇毒鶏王の存在を思い出した。
「あのスープにしよう」
私は『収納空間』から菠薐草250g・長葱2,5本・塩胡椒・醤油を取り出す。
菠薐草の根元を少し切り取って茎の中心に十文字に切りこみを入れ、水が入ったボウルの中で汚れを洗い流す。
根と葉の両方を洗い終えて水気を切っている間に、ボウルに冷水を張っておく。
鍋に『水渦球』で生成した熱湯を入れ、熱湯の量に対し0.5%の濃度になるように塩を加える。
そこに菠薐草の茎の部分を30秒ほど浸けたら、葉先まで沈めて2分を目安に茹でて鍋から取り出す。
用意していたボウルに、茹でた菠薐草を移して水に晒しておく。
「よし、これでアク抜き終了」
鍋を『浄化』で清潔にして洗う手間を省き、長葱の青い部分と白い部分を切り分ける。
青い部分はそのまま鍋に入れ、白い部分は小口切りにしておく。
『収納空間』から下処理を済ませておいた鶏ガラ500gと生姜150gを取り出し、鍋に入れる。
鍋に『水渦球』で生成した3000mlのお湯を入れて強めに熱する。
アクが浮いてきたら中くらいまで熱を調整し、アクがすこし茶色く変色して細かなアクが最初のアクにくっつき始めたらまとめて取り除く。
後はこまめにアクを取り除きつつ沸騰させないように注意しながら3時間ほど煮込んでいく。
「【夢幻創掌】」
瞬間、鍋の上に時計の形をした模様が出現し、長針が3時間ほど進んだ。
私は振り返って、テオス様の横にいるマーリン様に会釈した。
「ありがとうございます」
「気にしないで、ヘンゼル」
もう一度だけ会釈をして、調理に集中することにした。
煮込み終えたら鍋から食材を取り除き、ザルとキッチンペーパーを使ってスープを濾す。
濾した鶏ガラスープを『浄化』で清潔にした鍋に移し、<解析>を駆使して鶏ガラスープの量を計測する。
鶏ガラスープの量が2000mlということを知り、減らしたり増やしたりしなくていいことに安堵した。
「じゃあ、気を取り直して……」
鶏ガラスープに醤油を小匙5杯加えて火にかける。
スープを火にかけている間に水に浸しておいた菠薐草の水気を絞り、4等分に切り分ける。
ふつふつと煮立ってきたら、小口切りにした長葱と4等分に切り分けた菠薐草を入れて火を通す。
「あとは、卵だけ」
私は『収納空間』から卵を5個取り出し、ボウルに割り入れて溶いておく。
菠薐草と長葱に火が通ってきたら卵を回し入れ、少し待って火を通してから掻き混ぜる。
すると、スープも濁ることなく澄んだ鶏ガラスープが完成する。
「……できた。皆、食べる準備はできてる?」
「えぇ、当たり前じゃない」
そう言ってリリス様は、宙を飛び回りながら近づいてくる。
「空腹で倒れそうだわ、早く食べましょう」
そう言ってマーリン様は膝枕をしているテオス様の額に手を翳した。
「そうですね! 早く食べましょう!」
そう言って私のところへ駆け寄ってくるガーゴイル。
瞬間、マーリン様がスキルを発動させた。
「───【夢幻創掌】」
「……ここ、は?」
「おはようございます、テオス兄様」
ゆっくりと瞼を開けたテオス兄様のお顔を覗き込むと、表情が固まった。
「あ、れ……? リリスじゃ、ない……?」
呆然としながら、テオス兄様は半身を起こす。
私には頭を抑えて、状況を整理しているように見えて。
「お食事が用意できていますが、いかが致しますか?」
「あぁ……じゃあ食べるよ」
テオス兄様は少しふらつきながらヘンゼルの元に歩いていく。
マーリンはその後ろ姿を眺めて、ポツリと呟いた。
「……あの感じ、耐性や無効の力を解除している」
テオスに対する思い───
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