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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第五章 神威城塞編
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229話 煌耀銃砲バラキエル


 「……うぅ」


 「目覚めましたか、ガーゴイル」


 私が頭痛に襲われながら立ち上がると、リリス様が漆黒の(はね)を広げて飛んでいた。

 〔界淵層罅(エリヴァガル)〕に呑み込まれるまでいた〘冥獄界(ヘルヘイム)〙となんら変わらない空を。


 「私達は〔界淵層罅(エリヴァガル)〕に呑み込まれたんじゃ……?」


 「えぇ、呑み込まれたわ。けれど、〔界淵層罅(エリヴァガル)〕は私達を異物ではなく、〘冥獄界(ヘルヘイム)〙に生息していた生物と認識した」


 「そんなことが……!?」


 リリス様は「えぇ」と小さく頷いて、『そんなことがあり得る』ということを伝えてきた。

 その証拠に〘冥獄界(ヘルヘイム)〙に生息している生物が、私達を敵と認識して迫ってきている。


 「迎撃を開始しますっ!」


 私は即座に光学迷彩(アシミレーション)で隠蔽していた武装を解き放った。

 解き放たれるは、2機1対の煌耀銃砲(ビームガン)───それは銃と呼ぶにはあまりに大きく、大砲と呼ぶにはあまりに細い。

 やはり何度見ても、銃身だけを巨大化させているようにしか見えない。


 「【解掌倣製(トレース)】」


 私は一瞬で2038機1019対の煌耀銃砲(ビームガン)を作成した。

 そうしている間にも、〘冥獄界(ヘルヘイム)〙に生息している生物達───確認できただけでも屍喰鬼(グール)幽霊(ゴースト)冥魂霊(ワイト)死靈(レイス)の4種族が距離を詰めてきている。


 「───光芒弾(レイ)!」


 刹那、煌耀銃砲(ビームガン)を同心円状に340機170対、680機340対、1020機510対と展開し、広範囲に飽和攻撃を行なう。

 計2040機の煌耀銃砲(ビームガン)から放たれる光芒弾(レイ)は───爆発性はなくとも、その射出速度と着弾威力によって圧倒的な破壊力を有している。


 「【夢幻創掌(アルマロス)】」


 スキルの発動を告げる声が聞こえた瞬間、私達を虹に耀く半球が包み込む。

 それは「何か」から私達の姿を隠す幻術のようであり、私達を護る障壁のようでもあった。

 刹那───ドゴオオオンと、虹に耀く半球を覆い尽くすほどの爆発が生じる。

 それにより、地面は破壊されながら焼け焦げ、粉塵が巻き起こる。


 「……今の爆発はいったい!?」


 「あぁ、そういえば……1体だけいましたね。〘冥獄界(ヘルヘイム)〙を縄張りとしている存在(モンスター)───」


 「そう、嵌獣獅王(キマイラ)ネメオスが」


 私の疑問に答えたリリス様を、森護霊(エルフ)の少女が遮る。

 森護霊(エルフ)の少女を目にした瞬間、私はその顔に見覚えがあることに気づいた。

 けれど、私の知っている存在の種属は森護霊(エルフ)ではなく───


 「おや、マーリン。やっと起きたのですか」


 「そうね。あんなに煩くされたら、誰だって起きるわよ……」


 マーリンと呼ばれた森護霊(エルフ)の少女は、未だ眠っている2人へと視線を落とした。

 その様子を見て、リリス様が「あぁ……ヘンゼルですか」と呆れていた。

 刹那、嵌獣獅王(キマイラ)の咆哮が爆発で生じた黒煙を晴らした。

 そこには───漆黒の体毛に、黒蛇の尻尾と黄金の鬣が目立つ獅子が姿を現した。


 「……どうします?」


 「そんなの決まってます! 私が撃滅機(イェーガー)イロウルと煌耀銃砲(ビームガン)バラキエルを使って飽和攻撃を行ないますっ!!」


 「それは許容できないわ」


 「絶対にダメ」


 リリス様に続いてマーリン様も私の案を否定した。

 驚愕のあまり、私は理由を気かずにはいられなかった。


 「なっ、なぜなのですか!?」


 私の問いに、リリス様とマーリン様の声が重なる。


 「それは、やり過ぎるからに決まってるじゃない。ねぇ?」


 「そう……やり過ぎるから。“煌耀銃砲(バラキエル)”での飽和攻撃が、その証明」


 リリス様は私から目を背け、マーリン様へと視線を移す。

 マーリン様はリリス様の発言に頷いて、私の案を否定した理由を告げた。


 「なら、私がやる」


 私達は背後から聞こえた声に驚き、振り返る。

 そこには、眠そうに目を擦るヘンゼルの姿があった。

 「ふわぁああ」と大きなあくびをした後に、真っ直ぐ嵌獣獅王(キマイラ)を見据えた。

 


目覚めるは、食物神(ケレス)───

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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