222話 想定外の連絡
俺はガーゴイルが“神創機装”の捜索に向かったことをシルに伝える為に、“神威闘技場”に来ている。
“神威闘技場”───そこは、テオス様が創造した“神帝城塞”の地下に存在している全3層の内、その最下層に位置する戦闘可能領域のことを差す。
「シル、聞こえるか?」
俺は地上から上空に向かって声をだす。
シルは翼を広げ、“闘技場”でリルとネロが戦闘している様子を見ている。
公正な勝敗の判断を下す為にシルは目を逸らさずに、俺に問い掛けてきた。
「えぇ。それで、何の用があってここに?」
「あぁ、ガーゴイルが“深淵”に行った」
俺は翼を広げて飛翔し、シルの横で静止した。
すると、『待っていた』と言わんばかりにシルが発言した。
「そういうことですか。では、ガーゴイルは戦闘訓練には参加しないと?」
俺はシルの質問に対して、無言で頷く。
すると、シルが心を読んだかのように「本当に、用事はそれだけですか?」と訊いてきた。
ターコイズブルーの瞳は、俺の思考を見透かすように煌めいていた。
「違うが、決して無関係な話ではないな。“境界神”ピウスに【念話】でこう伝えてくれ───」
俺はシルに要件だけ伝えて、“闘技場”を後にした。
リルとネロの模擬戦の勝敗は気になりはしたが、どうせリルが勝つだろう。
戦闘経験も技量も攻撃力も圧倒的にリルの方が上なのだから。
まぁ、補助や守護という役割で見たらネロの方が適正は上だろうがな。
* * *
“幽魔獄界”───俗に“魔界”と呼ばれる場所。
その場所には悪魔達が跋扈する居城───“魔帝皇城”がある。
その王座に座すは、“幽魔獄界”に棲まう悪魔達の王。
“悪魔帝王”の異名を持つ人物は、ふと城の窓から空模様を眺めた。
すると、瞬く間に雲が虹色の煌めきで覆われる。
「もう“界隔虹煌神壁”の封鎖を終わらせたのか。これによって、滅多な理由がない限り世界を渡ることを禁じられる」
俺が現状の整理を終えた瞬間、リリスと念話が繋がった。
『テオス様が……』
言いたいことがあるのに言い淀むリリス。
俺はすぐに「テオス様が、どうかしたのか?」と訊き返した。
すると、衝撃的な言葉が返ってきた。
『記憶喪失に、なって……』
「───記憶喪失だとっ!?」
思わず声が漏れてしまった。
数瞬だけ異常をきたした脳を冷静にさせ、リリスの質問に答えた。
「“記憶神”アレテーは“神帝城塞”にいるはずだ。だから、詳しいことはネクロの部屋にいるであろうアレテーに尋ねてみればいい」
『わかったわ、ありがとう』
「俺の方からシルには連絡を入れておこう」
珍しくリリスが感謝の意を示してきたことに驚いた。
その所為で、心の声が漏れ出てしまったらしい。
『なら今度、お礼に“冥愚柘榴”を持っていくわね! 1ヶ月間の休暇を強制的に作ってあげるわ!』
「“冥獄界”への滞在を1ヶ月間も強制させる果物などいらん!!」
これ以上リリスに揶揄われないように、俺は【念話】を一方的に切った。
脳内に響く声が消え去ったことで、俺の周囲は再び静寂に包まれた。
記憶喪失になった神───
最後まで読んで頂き有難う御座います!
「面白い」 「次の話が気になる」と思って頂けましたら、下の☆☆☆☆☆から応援宜しくお願いします!
感想やいいね、ブクマ登録などして頂けると嬉しいです!




