218話 罪人の処遇
「───喋る気にならへん?」
銀灰色に染まる空間に少女の声が響く。
その声を聞く存在はただ1人。
森護人族の王と成り、世界を崩壊させようとした“冥獄界”に存在する樹。
死齎邪樹こと───アーダ=ドリュアス・アルベリヒ。
はぁ……面倒やな。
一向に喋る気が無いようやし、誅してもうてもええやろう。
経緯を話す機会は与えたっちゅうのに、沈黙するから悪いんや。
「───永劫監獄、解錠」
うちの発言に呼応するように、檻の鍵が解かれた。
鍵と錠前が消失したことで、格子の中間に位置する扉が開いた。
「……なんのつもりだ。釈放されるというわけではないのだろう?」
「はよ出て来ぃ、大罪人」
うちは声に力を込めて告げた。
すると「あ、あぁ……わかった」と、うちの圧に屈して従順になった。
ゆっくりと重い腰を上げ、1歩ずつ外を目指して歩み続ける。
その歩が牢の檻と外の狭間を踏んだ刹那。
うちは右手に薄青色の光粒子を集わせ、武器である“煉獄聖焔刀”を顕現させた。
「ま、待て! 武器は、一体なんなん───だッ!?」
罪人が牢獄外の床を踏みしめた、その瞬間。
“煉獄聖焔刀”を持つ右手に力を込めると同時に薙ぎ払い、罪人の首を掻き斬った───かに、思えた。
だがその実、“煉獄聖焔刀”の刀身部分が罪人の首に触れる寸前で静止していた。
「───おい、なに勝手に処そうとしてんだ? 俺が、アーサーに叱られちまうだろ」
その声が聞こえた方向、つまり背後に視線を向けた。
そこには───短く切った赤髪に天使特有の白と金の衣服を着用する少女の姿があった。
高い声と胸の膨らみの2点を除けば、完全に少年にしか見えない。
「そないなこと訊いてへんし、どうでもええねん。それよりも、オルコスはん……要件はなんや?」
「簡単な話だ、俺とアーサーは“誓約”を交わした。その内容は、“奈落”の最深部である“深淵”の最下層───“永劫監獄”に収容されているアーダ・アルベリヒを“蒼穹皇城”に連行することだ」
「……オルコスはん。急いで飛翔んで来たみたいやし、疲れてるやろ? 休憩ついでに話し合いでもしよか」
うちは反論される前に、扁平な円板の中央に一脚をもつカフェテーブルと衝撃吸収材に木造の四脚を取り付けたカフェチェアを、その場に創造した。
うちが創造した調度品ってことは重々承知なんやけど、景観と合ぉてへんから嫌や。
異物感があり過ぎて破壊したくなってきよった。
そんなことを思っていた矢先、「……場違いじゃないか?」と大罪人が呟いた。
うちはその発言に対して、反射的に「大罪人は黙りぃ」と言いながらカフェチェアに腰掛けた。
オルコスはんはうちが腰掛けたのを確認してから、渋々カフェチェアに腰掛けた。
異物感が半端ない───
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