217話 流星群
流星が降り注ぐ。
蒼白に煌めきながら、漆黒に染まりきった宵闇にその存在を主張している。
「───美しいな。フラーウスも、そうは思わないか?」
「まったく……この状況でよくそんなことが言えるわね、アーテル」
フラーウスは上空を指差しながら、溜息を漏らした。
指差された上空の先には───蒼白に煌めく無数の欠片が物理法則を無視して、俺に迫ってきている。
俺という着陸地点に向かって加速度的に距離を詰めてきている。
「そう言うのなら、お前が無数に落ちてくる星屑を破壊してくれるのか? 違うだろう、ならば───俺が輩下の持つ【引力換操】を駆使して星屑を一箇所に集め、一掃した方が効率的だろう?」
スキルを使っているから魔力消費がなくて助かる、と最後に付け加えた。
すまないな、フラーウス。
俺は答えが解っている返答など、訊く気はないんだ。
現状の問題は、至近距離まで来た星屑をどう対処するかだな。
いや、もっと単純に考えよう。
「【完全模倣】───【悉滅死葬】」
輩下のスキルを再現した。
その瞬間、無数に迫る星屑の動きが止まった。
蒼白に染まる彗星───その悉くが灰と成り、霧散した。
「使用者が『不要』と見做した全てを塵に変えるスキル……その威力は絶大ね」
フラーウスはそう言うと、微笑んだ。
微笑むフラーウスの瞳からは、『心配』という念が伝わってきた。
それに対して俺は「あぁ、そうだな」と短く返した。
「でも、これでヴェルが動いた意味はなかったってことよね?」
「いいや、そうはならない。なぜなら、アイツはこうなることを知った上で、俺に連絡を寄越したのだからな」
フラーウスは疑問符を浮かべて、首を傾げる。
暫く黙り込んだので、様々な思慮を巡らせたのだろう。
だが、結論に到達できなかったらしい───
「どういうこと、テルちゃん?」
その問いに対して俺は「簡単な話だ」と即答して、話を続けた。
「アイツは調停者のなかで『監視者』という役割を担っている。当然、俺達───いや、この世界にいる全ての存在の動向を知っている義務がある。であるならば、アマルティアやバシュムの存在に気づかない筈がない。それをアイツは俺達に教えなかった───ということは、“転生神”ユニヴェール=ニルヴァーナが管理しなければならない秩序:『輪廻』は、制限が緩いということだ」
俺の発言に、フラーウスは顎に指を当てて思案している。
その証拠として、狼と犬の中間くらいの耳がピクピクと左右に揺れ動いている。
暫くの間だけ俺は沈黙を貫き、フラーウスの考えが纏まるまで待機していた。
「───ということは、私達よりも管理する秩序に対する制限の重さが異なっている、ってこと?」
俺は「あぁ、そういうことだ」と言って、フラーウスの発言を肯定した。
アイツはここまで読んだ上で、何もしなかった。
いや、違うな───俺に【念話】を繋いで、ある程度の自由が認められていることを遠回しに伝えてきたのか。
随分と、解り難い手を打ってきたものだ……だが、その発言を訊いて、俺が被害を最小限に抑え込む為に行動することすら読んでいた。
だからこそアイツは俺に対して挑発的な態度をとった、というところか。
「俺以上に先を見ているのかもな……アイツは」
俺はフラーウスに訊かれない程度の声量で呟いた。
そうでもしないと、自身が完全に『“転生神”ユニヴェールの掌で踊らされていた』という事実に押しつぶされてしまいそうだったから。
星屑の処理、完了───
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