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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第四章 海淵神殿編
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217話 流星群


 流星が降り注ぐ。

 蒼白に煌めきながら、漆黒に染まりきった宵闇にその存在を主張している。

 

 「───美しいな。フラーウスも、そうは思わないか?」


 「まったく……この状況でよくそんなことが言えるわね、アーテル」


 フラーウスは上空を指差しながら、溜息を漏らした。

 指差された上空の先には───蒼白に煌めく無数の欠片が物理法則を無視して、俺に迫ってきている。

 俺という着陸地点(ターゲット)に向かって加速度的に距離を詰めてきている。


 「そう言うのなら、お前が無数に落ちてくる星屑(コレ)を破壊してくれるのか? 違うだろう、ならば───俺が輩下(パイモン)の持つ【引力換操(ベクトル)】を駆使して星屑を一箇所に集め、一掃した方が効率的だろう?」


 スキルを使っているから魔力消費がなくて助かる、と最後に付け加えた。


 すまないな、フラーウス。

 俺は答えが解っている返答など、訊く気はないんだ。

 現状の問題は、至近距離まで来た星屑をどう対処するかだな。

 いや、もっと単純に考えよう。


 「【完全模倣(スキルマイム)】───【悉滅死葬(セクメト)】」


 輩下(ウガルルム)のスキルを再現(コピー)した。

 その瞬間、無数に迫る星屑の動きが止まった。

 蒼白に染まる彗星───その悉くが灰と成り、霧散した。


 「使用者が『不要』と見做した全てを塵に変えるスキル……その威力は絶大ね」


 フラーウスはそう言うと、微笑んだ。

 微笑むフラーウスの瞳からは、『心配』という念が伝わってきた。

 それに対して俺は「あぁ、そうだな」と短く返した。


 「でも、これでヴェルが動いた意味はなかったってことよね?」


 「いいや、そうはならない。なぜなら、アイツはこうなることを知った上で、俺に連絡を寄越したのだからな」


 フラーウスは疑問符を浮かべて、首を傾げる。

 暫く黙り込んだので、様々な思慮を巡らせたのだろう。

 だが、結論に到達できなかったらしい───


 「どういうこと、テルちゃん?」


 その問いに対して俺は「簡単な話だ」と即答して、話を続けた。


 「アイツは調停者のなかで『監視者』という役割を担っている。当然、俺達───いや、この世界にいる全ての存在の動向を知っている義務がある。であるならば、アマルティアやバシュムの存在に気づかない筈がない。それをアイツは俺達に教えなかった───ということは、“転生神(エウノミア)”ユニヴェール=ニルヴァーナが管理しなければならない秩序:『輪廻』は、制限が緩い(・・)ということだ」


 俺の発言に、フラーウスは顎に指を当てて思案している。

 その証拠として、狼と犬の中間くらいの耳がピクピクと左右に揺れ動いている。

 暫くの間だけ俺は沈黙を貫き、フラーウスの考えが纏まるまで待機していた。

 

 「───ということは、私達よりも管理する秩序に対する制限の重さ(・・)が異なっている、ってこと?」


 俺は「あぁ、そういうことだ」と言って、フラーウスの発言を肯定した。

 

 アイツはここまで読んだ上で、何もしなかった。

 いや、違うな───俺に【念話】を繋いで、ある程度の自由が認められていることを遠回しに伝えてきたのか。

 随分と、解り難い手を打ってきたものだ……だが、その発言を訊いて、俺が被害を最小限に抑え込む為に行動することすら読んでいた。

 だからこそアイツは俺に対して挑発的な態度をとった、というところか。


 「俺以上に先を見ているのかもな……アイツは」


 俺はフラーウスに訊かれない程度の声量で呟いた。

 そうでもしないと、自身が完全に『“転生神(エウノミア)”ユニヴェールの掌で踊らされていた』という事実に押しつぶされてしまいそうだったから。



星屑の処理、完了───

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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