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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第四章 海淵神殿編
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206話 神鶏グリンカムビ


 「リル、起きてるよな?」


 「はいっ!」と大声で返事して、ゆっくりと立ち上がる。

 木屑や石の破片などがリルの艶のある黒髪に付着している。

 俺はそれが気になったので、頭髪を優しく───犬の毛を撫でるようにして、ゴミを払う。


 「ありがとうなのですっ……! テオス様!!」


 リルはそう言って、はにかむように笑う。

 

 リルの笑顔は、俺の心を冷静にさせてくれる。

 冷静というよりも、安堵するの方が適切だろうか?

 まぁ、どちらにせよ……リルに嫌がられていないので良しとしよう。

 

 「質問なんだが、フォンスさんはあんなにも様子が変だったんだ?」


 「えっとですね、それは───」


 『その件については、私の方からお伝えしましょう』


 俺とリルの会話に割って入ってきた存在───金の鶏冠が特徴的な鶏。

 ゆっくりと俺達の方へ近づいてくる。


 大きさと色さえおかしくなければ、普通の鶏と勘違いしてしまうだろうが……。

 その鶏は人語を喋り、体格や体毛が“普通”ではない。

 異質さは、時にトラブルに巻き込まれる確率(リスク)を上げることがある。

 

 「待て、そもそも何故お前が此処にいる? 各世界に時刻を伝える神鶏───“真煌神鶏(グリンカムビ)”」


 リルの声が、誰かを疑っている際のものへと変化した。

 

 他者を疑い過ぎるのは良くないとは思うが……信じ過ぎるのも良くないからな。

 俺はどちらかと言うと、信じ過ぎてしまうタイプなのでここは黙っておくのが良いだろう。


 『“時空神(カイロス)”フギン=クロノス様から命じられた為、問題にならない。それに、私が各世界に時刻を伝達するのは───次元を超越し得る脅威(そんざい)が、敵対したときだけだ』


 その鶏は、淡々と続ける。


 『おっと、これは失礼したしました。(わたくし)、“樹華神(フローラ)”ネロ=シルワァヌス様に仕える光の聖霊───レクスと申します』


 鶏がそう言うと、一瞬で【人化】のスキルを使ったのか人の形を成した。

 金色の短髪に深紅の瞳、純白の紳士服に身を包む少年が目の前に立っていた。

 そして、俺に対して恭しくお辞儀する。

 その様子を見ながら、リルが嫌味のように言った。


 「【人化】のスキルは持っている癖に……人間(ヒューマン)の前には姿を見せない所為で、神異名(あだな)を持っていない───」


 レクスと名乗った鶏が、微笑みながらリルのこめかみを掴む。

 口角は上がっているものの目が笑っていないので、怒っているようにしか見えない。


 「私を馬鹿にしたいのであれば、幾らでもどうぞ。多幸感で頭がバカになっていた(ワン)ちゃん?」


 レクスはそう言ってリルの頭を鷲掴みにして、微笑んだ。


 シルがそうだが、優しそうな外見の人って怒ったら怖いよな。

 いや、もしかすると───怒ったら怖い人が優しそうな外見なのだろうか?

 う〜ん……どっちだろうな?


 「このっ……! は、なせっ……!!」


 リルはレクスの手を離そうとして、腕を引っ掻く。

 だがレクスは微動だにせず力を入れたままだ。


 「人間に知られていなくとも、強大な存在がいることを知っておいた方がいい。信仰量(ちめいど)だけが、“神人(わたしたち)”の全てではないのだから」


 レクスはそう言って、ニマニマと笑う。

 完全に遊ばれているリルの姿を見ながら、思った。

 少し力を込め過ぎではないか───と。



金の鶏冠を持つ鶏は、グリンカムビ───!!

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] いい感じに味方になってくれそうな奴がニワトリってのもまた面白いな!!! なんかメインヒロインがリルちゃんに固まってきた印象ですが、あの、枕のリリスさんはどうなってしまったのでしょうか………
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