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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第四章 海淵神殿編
203/240

203話 終焉を告げる焔獄竜


 私は直ぐにスキルを使った。

 一瞬で本を縮小し、ページを捲る。

 書かれている内容を瞬く間に頭に叩き込んだ。


 「【事象掌握(クヴァシル)】───ッ!?」


 そして、理解してしまった。

 これから起こる回避不可能な何かを。

 先程の技は、これから使用するスキルに適した環境(ぶたい)を造っていただけなのだ、と───。


 「ようやく気づいたようだな。だが、とうに手遅れだ! 我が究極の奥義、その()に焼きつけるがよい───【燦焦灼罪毀焔獄竜(マスターテリオン)】!!!!」


 先程の叫んだ名はスキルでしょうね。

 ……確証はありませんが。


 ジークはゆっくりと剣を地面に突き刺した瞬間、剣に付加されていた炎が地面に吸い取られていった。

 途端、地割れが起こる。

 割けた隙間から、赤黒く濁り熱を発する熔岩が溢れ出る。


 「な、ぜ───!?」

 

 この光景は、まさに“炎獄界(ムスペルヘイム)”そのもの。

 このスキルは地形を変質させるものなのでしょうね。

 だとすれば、この闘技場はものの数分で溶岩に呑まれてしまう。

 この場合における私の最善の行動は───えっ?


 私が(はね)を広げて飛ぼうとした瞬間。

 その存在が、姿を現した。


 「終末(はじまり)を告げ、終焉(おわり)を齎すは───血濡れた紅き七頭の邪竜」


 ジークの背後に、熔岩と炎が混合した七つの頭を持つ竜が、存在していた。

 圧倒的な威圧感を放ち、この場の空気を一瞬にして支配した存在。

 

 そ、そんな……!

 この姿は───この、禍々しさは!!


 「───欲望のままに喰らい、全てを焼き尽くせ」


 冷酷な言葉が聞こえ、竜が襲い掛かってくるのがわかる。

 回避する為に、飛ばなければいけない。

 でも、身体(からだ)が微動だにしない。

 恐怖と謂う感情に、脳が支配されてしまっている。


 熔岩の熱がゆったりと、でも着実に距離を詰めてくる。

 七つの頭部を持つ竜が私を取り囲むように近づいてきた。

 その時だった、第三者(フギン)からの干渉が入ったのは。

 

 「【時空間操作(ノーナ)】!」


 神性を持っている存在には、時間停止は効かない。

 効かない、とは───常人と同じように、肉体と意識が停止しないということ。

 でも、気を惹くことはできる。


 「いい加減にして、ジーク! このまま争い続けても勝負が決しない。それくらいわかるでしょ?」


 「黙っていろ、フギン。我は、アリシアと戦っているのだ。貴様は───」


 刹那、フギンがジークの背後に立っていた。

 異空間から取り出した“宙歪神鎌(アダマス)”を彼女の首に近づけて、言った。


 「大人しく従え、と言っている。それとも───牢獄(タルタロス)に送られたい?」


 不服と言わんばかりに、頬を膨らませながらもジークはフギンの言葉に従った。

 ゆっくり屈み、大剣を地面にそっと落とした。

 

 「終焉の邪竜───貴様は“炎獄界(ムスペルヘイム)”に戻れ。時空ごと隔離されたくはないだろう?」


 『う、む……我もそうなることは本意ではない。時の管理者よ、お主の慈悲に感謝しよう』


 “星天神(サフ)”モルガナ=アステリアの予言で語られた世界に終焉を齎し得る竜。

 そんな存在が、フギンに頭を下げるなんて。

 それに、喋れるなんて思ってもみなかった───


 『智慧の管理者よ、先程はすまなかった。“炎獄界(ムスペルヘイム)”に訪れることがあれば、我に連絡するとよい。我に出来ることがあれば、最大限の協力を惜しまないと神に誓おう』


 「……“契約神(ミスラ)”オルコス=ヴァールにも同じことが言えるのですか?」


 熔岩で形成された終焉の邪竜は無言で頷いた。

 途端、氷が水になるが如く───竜の形状が崩壊し、熔岩となり地面に吸収された。


 熔岩という存在となって世界を渡った、というのが正解かもしれませんね。

 “境界神(テルミヌス)”ピウス=へパイストスの“神壁(ウォール)”にこのような抜け道があったとは。

 それとも、わざと抜け道を作ったのでしょうか?



焔獄竜の深謝───

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] うおおおおおお七頭のドラゴン超カックイーーーーーーッ!!!!! シンプルに興奮しました。ありがとうございます。
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