200話 炎獄の王
至天帝神大皇艦の1階、ネクロの部屋にて───
「……やはり、偽りの記憶だったのか」
部屋に誰も居ないのを良いことに、私は呟いた。
妻と子供との記憶と王国から追放された記憶、この2つが虚飾に塗れた記憶だった。
違和感は感じていたが確証がないので、断言できなかった。
「はぁ、暫くは頭を休めるとしよう。1年に2回しか使えず、最短でも6ヶ月の期間を空けないと使えないスキル【神智記創世術式】を使ったのだから」
だが、後悔はしていない。
あの場で使っていなければ、ラプラスも動けなかった。
ラプラスは過去の情報を元に【未来視】にも迫るほどの“行動予測”が出来るが、それでも限界があった。
だから、無闇に突撃はしなかった。
「我が主。ランプロスとエテルノの処遇について相談が───」
私がベッドに横になった途端、ジークが転移してきた。
言葉が途切れ、気まずそうな視線を送ってきた。
「ジーク、私とお前の仲だ。いつでも連絡してこい。こんなことで報連相が疎かになるなど、笑えない」
「ハッ! 了解しました、それで……」
『先程の返事は?』と言いたいのだろうが、その言葉が出てこなかった。
何故ジークが言ってこなかったのかは気になるが、それは後回しだ。
「処遇は決まっているだろう。アマルティアが滅んだのだ。私達が思い出せているのだから、スキルの効果が消滅していているのだ。このまま何もしなくとも、消えてくれるだろう」
「我が主、それは流石に───ッ!!」
「じゃあ、なんだ……お前は、私に、ランプロスとエテルノを救ってくれと懇願したいのか?」
ジークは困ったように慌てながら、俯いた。
はぁ……ヘルムを被っているから正確には分からないが、目を逸らしているな。
助けたい気持ちは分からなくもないが、助ける手段がないのだ。
私の奥義は、自身の時間を加速させたとて使えるようになどならない。
実際に6ヵ月の時を過ごさなばならないのだ。
「ジーク、お前なら分かるだろう。私が───【神智記創世術式】を使用したことなど」
ジークは無言のまま頷いた。
だが当然のように納得はしてないらしく、沈黙を貫いている。
今でこそ良く喋るようになったが、出会った当初は寡黙であったな。
まさか、そんな人物の性別が───
「分かりました、我が主。我が出向いたとて、意見が変わらぬのであれば……ッ!!」
瞬間、『収納空間』を使用して剣を取り出し、私に向かって振り下ろした。
やはり反抗してくるか。
だが……あの権能を使ってこないだけマシと考えるべきだな。
「流石は我が主、魔法の障壁で受け止めるとは。じゃが、この“獄炎神”を舐めなッ───!?」
急にジークの動きが止まると同時に、黒と灰の髪色をした2人の少女が、私とジークの間に立っていた。
その2人は───フギンとシルだった。
何故、此処に!?
それにこのタイミングで……!!
「ジークフリート、貴方の気持ちも分かりますが……“神”の因子と適合していない者が“神帝城塞”に住むなど許されません! それに“背理神”アマルティア=ムネモシュネが滅んだ影響で、存在ごと消滅しているでしょう」
ジークは何とか体を動かそうとしているが、微かに震えているようにしか見えない。
シルは、『構う必要がない』とでも言うように、話を続ける。
「貴方は───“炎獄界”の王でしょう? 一時の感情で動くなど、言語道断です! 暫く反省しなさい!!」
ジークは剣を振り下ろしたままの状態で、放置される事となった。
シルが今言った言葉は───自身を棚に上げた発言なのだから、指摘してしまうと終わる。
永遠とも思える長時間、言葉責めされ続けて結局こちらが折れなければならなくなる。
「……触らぬ神に祟りなし、か」
シルは、ゆっくりと振り返り、首を傾けて「どうかしましたか、ソロモン?」と言ってきた。
笑顔なのだが目が笑っていない。
それに、私のことを『ソロモン』と呼称している時点で怒っているのは明白だ。
……この迫力だけなら、テオス様が怒った際と同じではないだろうか?
シルの怒りは深く───
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