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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第四章 海淵神殿編
200/240

200話 炎獄の王


 至天帝神大皇艦(スキーズブラズニル)の1階、ネクロの部屋にて───


 「……やはり、偽りの記憶だったのか」


 部屋に誰も居ないのを良いことに、私は呟いた。

 妻と子供との記憶と王国から追放された記憶、この2つが虚飾に塗れた記憶だった。

 違和感は感じていたが確証がないので、断言できなかった。


 「はぁ、暫くは頭を休めるとしよう。1年に2回しか使えず、最短でも6ヶ月の期間を空けないと使えないスキル【神智記創世術式(アルス・ノヴァ)】を使ったのだから」


 だが、後悔はしていない。

 あの場で使っていなければ、ラプラスも動けなかった。

 ラプラスは過去の情報を元に【未来視】にも迫るほどの“行動予測”が出来るが、それでも限界があった。

 だから、無闇に突撃はしなかった。

 

 「我が主。ランプロスとエテルノの処遇について相談が───」


 私がベッドに横になった途端、ジークが転移してきた。

 言葉が途切れ、気まずそうな視線を送ってきた。


 「ジーク、私とお前の仲だ。いつでも連絡してこい。こんなことで報連相が疎かになるなど、笑えない」


 「ハッ! 了解しました、それで……」


 『先程の返事は?』と言いたいのだろうが、その言葉が出てこなかった。

 何故ジークが言ってこなかったのかは気になるが、それは後回しだ。


 「処遇は決まっているだろう。アマルティアが滅んだのだ。私達が思い出せているのだから、スキルの効果が消滅していているのだ。このまま何もしなくとも、消えてくれるだろう」


 「我が主、それは流石に───ッ!!」


 「じゃあ、なんだ……お前は、私に、ランプロスとエテルノを救ってくれと懇願したいのか?」


 ジークは困ったように慌てながら、俯いた。

 はぁ……ヘルムを被っているから正確には分からないが、目を逸らしているな。

 助けたい気持ちは分からなくもないが、助ける手段がないのだ。

 私の奥義は、自身の時間を加速させたとて使えるようになどならない。

 実際に6ヵ月の時を過ごさなばならないのだ。


 「ジーク、お前なら分かるだろう。私が───【神智記創世術式(アルス・ノヴァ)】を使用したことなど」


 ジークは無言のまま頷いた。

 だが当然のように納得はしてないらしく、沈黙を貫いている。

 今でこそ良く喋るようになったが、出会った当初は寡黙であったな。

 まさか、そんな人物の性別が───


 「分かりました、我が主。我が出向いたとて、意見が変わらぬのであれば……ッ!!」


 瞬間、『収納空間(アエテルヌム)』を使用して剣を取り出し、私に向かって振り下ろした。

 やはり反抗してくるか。

 だが……あの権能を使ってこないだけマシと考えるべきだな。


 「流石は我が主、魔法の障壁で受け止めるとは。じゃが、この“獄炎神(スルト)”を舐めなッ───!?」


 急にジークの動きが止まると同時に、黒と灰の髪色をした2人の少女が、私とジークの間に立っていた。

 その2人は───フギンとシルだった。

 何故、此処に!?

 それにこのタイミングで……!!


 「ジークフリート、貴方の気持ちも分かりますが……“神”の因子と適合していない者が“神帝城塞(ヴァルハラ)”に住むなど許されません! それに“背理神(イブ)”アマルティア=ムネモシュネが滅んだ影響で、存在ごと消滅しているでしょう」


 ジークは何とか体を動かそうとしているが、微かに震えているようにしか見えない。

 シルは、『構う必要がない』とでも言うように、話を続ける。


 「貴方は───“炎獄界(ムスペルヘイム)”の王でしょう? 一時の感情で動くなど、言語道断です! 暫く反省しなさい!!」


 ジークは剣を振り下ろしたままの状態で、放置される事となった。

 シルが今言った言葉は───自身を棚に上げた発言なのだから、指摘してしまうと終わる。

 永遠とも思える長時間、言葉責めされ続けて結局こちらが折れなければならなくなる。

 

 「……触らぬ神に祟りなし、か」


 シルは、ゆっくりと振り返り、首を傾けて「どうかしましたか、ソロモン?」と言ってきた。

 笑顔なのだが目が笑っていない。

 それに、私のことを『ソロモン』と呼称している時点で怒っているのは明白だ。

 ……この迫力だけなら、テオス様が怒った際と同じではないだろうか?

 


シルの怒りは深く───

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[良い点] ネクロさん……とにかくもう幸せになって(号泣)
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