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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第四章 海淵神殿編
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197話 運命神の選択


 薄暗い洞窟(くうかん)に、旋律(きょく)が響き渡る。

 その曲はある“神人(デミゴッド)”によって奏でられているもの。

 だが、その曲が作られた理由を知っていれば、今の俺を嘲笑っているように感じて。


 「───おい。その曲が持っている“意味”を理解して弾いているんだろうな、イリス?」


 俺がその人物に対して問い掛けると、すぐに返事が返ってきて。


 「うん、知ってる。理解した上で、この曲を弾いている。今の貴方には……この曲がお似合い」


 その声が聞こえると同時に現れたのは、紫紺の瞳を持つ少女。

 その少女は、紫の短い髪を右側でまとめ上げている。

 この髪型は……ワンサイドアップか?

 いや、ワンサイドヘアと言うんだったか?

 

 「……そうか。よくもこのタイミングで、この第一楽章(きょく)を聴かせてくれたものだ」


 「この曲───『月光』を聴いても尚、正式に私達の側につかないの? そんなに、天使族(わたしたち)が信用できない?」


 「───違う。お前達のことは信用も、信頼もしている。それをしていないのは、俺の心身だ。この神体(からだ)は、オーディンにとって都合の良い傀儡(どうぐ)でしかない。だからこそ、お前達が叛逆することを知ったら……俺が止めなければいけなくなる。例え、その結果が変わらないものであるのだとしても……僅かでも、生きていて欲しいんだ」


 ……それに、分かっているんだ。

 いつまでも正体を隠し通せないことは。

 今はまだバレていないかもしれないが、これからはオーディンにもバレるんだ。

 だったら、この気持ちを隠して偽っていてはいけないことも、ちゃんと理解している。


 「……そっか。じゃあ、1つだけ質問───なんで、カエルラの反転した精神を犠牲にしてまで、アマルティアを滅ぼしたの?」


 イリスが、首を傾げて訊いてくる。

 なんだ、気になっていたのはそんなことなのか。

 だったら回答も、楽だな。


 「嫉妬は───羨望と憎悪の2種類に分けられる。嫉妬と謂う一括りの存在よりも、羨望という純粋な状態(そんざい)の方が良いに決まっているだろう」


 「それは、とても自己中心的な考え……」


 俺を拒絶するような、諭しているような口調。

 だが、その程度の言葉の強さ(・・・・・)では俺とオーディンの間で結ばれた“契約”を破棄することなど出来る筈もない。

 だが───俺も、決めないといけない。

 いつまでも運命と謂う強大な存在に縛られたままなのか、反抗して足掻くのかどうかを。


 「あぁ、その通りだ。だが……それ以外に、カエルラとアマルティアの2人を救う方法が存在しなかったのだから、仕方ないだろう!!」


 「なら、諦めればよかった。カエルラかアマルティアの、どちらかを」


 何故、そんな風に言うことが出来る?

 1つの命を諦めて、自身が救いたいほうの命を救う?

 だれが、決めた───守りたいものは、救いたいものは、選ばなければいけないなどと。

 ふざけるなよ、俺はあの日誓ったんだ。

 守りたいものは何があっても絶対に守り抜くと、だからこそ俺は俺であれるのだ。


 「───何故、諦める必要がある? 救える可能性がある命なら、救うのが“神”と謂う存在だろう!?」


 「可能性という希望に縋って、それが叶わないと理解してしまった時、精神により大きなダメージが入る。その事を、ちゃんと理解して言ってるの?」


 「あぁ、理解している! だからこそ、俺はオーディンに逆らえなくなっても尚、お前達と協力してテオスが呼ばれる筈の年月を早めて───」


 「……わかったから、黙って」


 イリスは、俺という存在を拒絶するかのように、睨んできた。

 そう、その時だった───完全にアレテーが復活したのは。

 


記憶神の復活───

最後まで読んで頂き有難う御座います!



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[良い点] 「嫉妬は───羨望と憎悪の2種類に分けられる。嫉妬と謂う一括りの存在よりも、羨望という純粋な状態の方が良いに決まっているだろう」 そんな-100と-50のどっちがいいなんて質問……どっち…
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