196話 神の権利
砂漠地帯の地下にある洞窟。
その名を───“神岩洞窟”と言う。
その人物は、長い鎖に繋がれている蛇を見ながら笑っている。
これからこの生物が動き出すのか、と心を躍らせて。
たった今、この世界に存在する“神人”達は激しい頭痛に襲われた。
その原因は───“背理神”アマルティア=ムネモシュネが滅んだことだ。
正確には、悪性が消滅したついでに、善性も一緒に消滅してしまったことが問題だ。
「こうなった原因は俺だが、仕方あるまい。アイツのスキル【魔術文字】には逆らえないのだから」
アレテーは記憶を司っており、アマルティアはその権能を悪用したのだ。
記憶の改竄という方法で、“神人”達の脳に干渉した。
“神人”───それは全人類を基準にしたもので、俺からすればこの“銀河”に初めて生まれた人間というだけのことなのだ。
ただ、何かを司るという強大な権能を持った人間に過ぎない。
「少し予想外の事が起こったものの、想定の範囲内だ。悪性腫瘍を取り除いた今、万全の状態での治療が可能となった」
俺は『収納空間』の魔法を使って、一本の毛髪を取り出す。
その色は金であり、とても艶やかな髪質だ。
毛髪毛幹部の中心部にある髄質には微量のDNAが含まれている、それはこの世界でも共通だ。
DNAとは、遺伝子情報の塊───突き詰めると、その存在の最重要の情報。
俺がアレテーのDNAを完全に把握して、“神権”を使用して複製すれば純粋無垢なアレテーが再誕する。
まぁ、行う場所が違っていれば「人格侵害に繋がる可能性」で逮捕されるが、そんなこと今はどうでも良い。
「DNA鑑定を行い、アレテーの情報子を全て理解する。そして、人間のDNAをコピーして、アレテーのクローン兼オリジナルを創り出す!!」
この世界の理に背くのだ、オーディンにはバレるだろう。
さぁ、世界如きにこの“神”は縛れないと言うことを教えて───待てよ、毛髪から蘇生させれば手間も掛からない。
……その方が良さそうだな。
「神代級・光属性魔法-『神域』」
周囲が金色の光に包まれ、洞窟と謂う空間を拡張させた。
その空間は、幻想郷とも思える儚さと万華鏡の美麗さに満ちている。
……ははっ、やはりこの空間は心が落ち着く。
では執り行うとするか、万物を超越した絶対領域にて。
「“唯一神”が神名において命ずる。“記憶”を司る覚醒した“真人”たる───“神人”を、“転生神”ユニヴェール=ニルヴァーナが司る“輪廻”から解き放ち、この“世界”に再誕せよ」
お前は罪人であり、純粋な聖人だ。
罪人が滅んだ今、お前を阻む壁は無く───再誕したとて、恨む者は無し。
善性は“輪廻”への道を辿るが、悪性は“死獄界”への道を辿る。
「その罪を精算した今、世界に存在することが認められる。さぁ、純粋無垢なるあの頃に───戻るがよい!!」
俺は“神権”を使用し、ユニヴェールの“輪廻”からアレテーの“魂”を解放し、この場へ招く。
それと並行して、毛髪から再生した肉体に統合させる。
この瞬間───“記憶神”アレテー=ムネモシュネが、この”世界“に再誕した。
そして、その事実をアレテーが再誕した瞬間に知った者が、1人だけ居た。
* * *
───総てが、憎い。
憎い、憎い、憎い、憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。
その洞窟には、憎悪が蔓延している。
今は地面の壁にて外界との接触を絶たれ、生と死の狭間に居る存在。
だが、元々は世界に対して憎悪を抱き続け、実際に世界を半壊にまで追い詰めた存在。
その存在の名は───“崩滅壊聖蛇”バシュム。
そんな凶悪な生命が、生死の狭間から抜け出し───破壊衝動を取り戻した。
聖蛇の破壊衝動───
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