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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第四章 海淵神殿編
193/240

193話 身魂乖離の影響


 至天帝神大皇艦(スキーズブラズニル)の1階、豪華な装飾が施されている部屋にて───


 お兄がベッドで横になって、眠っている。

 ……此処に来てからずっとこんな調子で、このまま永遠に目を覚さない可能性だってある。

 そうなるくらいなら、お兄に“冥獄界(ヘルヘイム)”の果実を食べてもらって“縁”を結ぶ。

 よしっ、そうと決まれば、さっそく“冥愚柘榴(プロセルピナ)”を出そう。


 「『収納空間(アエテルヌム)』」


 私はその真紅に染まった実を取り出し、少し伸ばした人差し指の爪で5つの切り目を入れる。

 魔法で水球を作り出し、切り目を入れた実を放り込んで果肉を潰さずに分離させる。

 分離した皮の部分は魔法で存在ごと消滅させて、そこから12粒の果肉を取り出す。


 1粒で“冥獄界(ヘルヘイム)“に31日間滞在するというルールに則ると、12粒食べてもらえば1年間一緒に過ごすことが出来る。

 でも、それはお兄の自由意志を奪うことと同じ訳で。


 「はぁ〜……どうしよう。最近、感情のコントロールが出来なくなってきてる……」


 お兄のことは家族として好きだけど、最近はそれ以外の……恋愛面での感情なんじゃないか、って疑ってしまう自分がいる。

 いや、本当はもう分かっているんだ。

 この感情が、家族愛なんて謂う領域を超えていることは。

 でも、そんなこと、起こってはいけない……“(おにい)”は、1人の人間に対して“愛情”を注いではいけない。

 その“愛”は───人間が背負うにはあまりにも大きく、重すぎるから。


 「少し、疲れたな。お兄の匂い……安心する」


 私はそのベッドに、お兄を起こさないように気をつけながら入って、ゆっくりと瞼を閉じた。

 そうして、お兄の匂いに包まれた空間で心地よい眠りについた───



 *   *   *



 誰かの声が聞こえた気がして、俺は重い瞼を開けた。

 気の所為だろうと思っていたのだが、寝返りを打った瞬間に気づく。


 「すぅ……すぅ……」


 なんでリルがいるんだ───と思って、急いで体を起こしたのだが。

 その直後に感じたのは、関節の痛みと熱っぽさ。

 そして、頭にじんわりと広がってくる痛み。


 「か、体が重い……?」


 声を出したことで分かったが、喉の痛みもあるようだ。

 頭痛、関節痛、咽頭痛、脱力感、体の火照り───症状だけで言うなら完全に風邪だが。


 「……ぁ、お兄ぃ!!」


 目を覚ましたリルが、物凄い勢いで飛び上がり抱きついてきた。

 俺の体に頬を擦り付けながら、泣いている。

 前にジャックにされた時も思ったが、俺の服は涙を拭く為のハンカチやティッシュじゃないんだが。


 「リル、聞いてくれ。今、俺はとても体調が悪いんだ。少しの間でいいから眠らせてくれ」


 「え……どうしたの!?」


 と言うと、さっきまで勢いよく動いていた尻尾と耳がしゅんとなり、未だに泣いているので目からぽろぽろと涙が俺の服に落ちている。

 リルの柔らかくすべすべな肌がぴったりと密着していて、絹でも触っているような感じがする。

 でも、これ以上は流石に俺の精神(こころ)が耐え切れないので、リルには退いてもらい、安静にする為に横になった。

 すると、リルが一言。


 「大丈夫だよ、ちゃんと看病するから。ちゃんと安静にしててね」


 「わかった、ありがとう」


 リルが俺の頭を撫でた気がした。

 俺は体調が悪かったので、確認する暇もなく眠ってしまった。



神の深き眠り───

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 某も豪華な部屋で狼系妹ヒロインに風邪の看病してもらいたい人生だった(プロセルビナから目を逸らしつつ)
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