186話 救命の弾丸
もう……限界。
なるべく、アマルティアに触れられないように立ち回ったけど……。
服もボロボロで、護身用のナイフは全部使ってしまった。
あの剣があるけど……出来れば使いたくない。
どういう理屈かは解らないけど、この余裕の笑み……まだ分身体があるように感じる。
「あら、もうお終い? 意外に弱かったわね、それでもあの“魔皇神”の輩下かしら?」
頭が真っ白になった。
───どんな思考回路をしているからテル様の話になるのか、と。
待って、意味が……解らない。
何で、そんな話になるの?
確かに私はテル様の影だけど、その事を一瞬で理解したとでも?
「まぁ、どうでも良いわ。だって、貴方───これから死ぬもの」
気がつくと、アマルティアの掌が私の頭に近づいていた。
その光景を視認した瞬間、体の力が抜けた。
立つ事すらも維持できなくなり、私は膝から崩れ落ちた。
なん、で?
アマルティアの掌が迫って来てから……!!
「何かの、スキルを使った?」
私がその結論に至る。
すると、アマルティアは不気味に嗤い、言葉を告げる───
「さようなら、“夜影神”ジャック=ニュクス」
体の自由が、完全に消える。
筋肉に力が入らなくなり、魔力すらも操れない。
残り数分で影を媒介とした【虚影天蓋】も崩壊し始める。
最後に足掻くことも出来ないなんて……。
アマルティアが持っている武器を見て、私は目を見開く。
何で、アマルティアが……カルラ様の武器を?
もしかして、アマルティアの能力は───
その武器を視認した瞬間、アマルティアの姿ごと消えた。
それが意味する事を悟り、目を瞑った。
私は此処で死ぬ、と。
『ベータ、ふざけるな』
団長の───苛立ちを募らせた声が聞こえた。
遂に幻聴まで……立ち上がることも出来ず、魔力も操れず、何もかもが出来ない───無力感。
刹那、カランッという軽い金属音が聞こえた。
不思議に思い、私は目を開ける。
そこには、仰向けで倒れるアマルティアの姿があった。
胸元には風穴が空いており、血がドパドパと出ている。
右手には、カエルラ様の槍が落ちていた。
私は目を背けずに、合掌する。
やっぱり私は暗い世界が心地良い。
血が出ても、暗いと見えにくいから。
ある程度の事を隠せる影の世界が好き───。
私はアルセーヌの行動を封じている【虚影天蓋】を解除した。
そして、私は少しだけ休憩して【虚影天蓋】の外に出たのだった。
───この時の私は、何一つ分かっていなかった。
アルセーヌが殺したアマルティアは、分身体の1人でしかなかったことに。
まだまだ居るアマルティア───
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