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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第四章 海淵神殿編
181/240

181話 憎悪の化身


 “激流海域(プロテウス)” ───そこは、海の創造主が座す一帯。

 激流などと呼ばれる理由は、人が辿り着けぬ域に到達しているからだ、と人類は認識している。

 たが、本当の理由は───“異流渦隔門海域(オケアノス)”が存在しているからである。

 深海に存在するその神殿の真奥にて、巨大な水球の中で蹲って眠る者こそ[始海の女帝]たるカエルラ=ティアマト。

 その姿を見て嗤う者は“背理神(イブ)”アマルティア=ムネモシュネ、その本体。

 

 「うふふ、ようやく準備が整った……! これで、私は───この女に成り代われる!!」


 アマルティアは満面の笑みで、そう告げる。

 だが、ここで予想外の出来事が起こる。

 それは───“海覇神龍(リヴァイアサン)”の意識の覚醒。

 その意識は、かつて嫉妬に狂ったカエルラの反転人格。


 「え……? 何が、起こって───」


 その瞬間、アマルティアは目を疑った。

 大きな水球は破裂し、支配しようとしていたカエルラが目を覚ましたのだから。

 その瞳は宝石のように澄んでいて、髪は水のように透き通る綺麗な青色。

 そしてカエルラは、アマルティアを見て微笑み───スキルを使用した。

 

 「【水造生物(アプスー)】」


 カエルラの体の周りに複数の水球が浮かぶ。

 それらは、水棲生物へと姿を変え───アマルティアに襲い掛かる。

 鮫が、海蛇が、海月が、魚が、アマルティアの血肉を喰らう。


 「いっ! いたい!! たっ、助け───ッ!!」


 アマルティアの骨が、肉が、臓器が、喰われていく。

 皮膚が破れ、肉が裂かれ、骨が砕かれ、血が流れ、痛みが脳を焼く───。

 その中で、冷静な判断など出来るはずもなく。

 その生物達は、母を貶めようとした事を理解しているかのように───無慈悲に喰らい尽くす。

 

 「いっ、いや! これ以上は、本当にッ!! 死んで───ッ!!!」

 

 そして、アマルティアはスキルを使うこともなく、死した。

 1つだけ奇妙な点があるとすれば、少し笑っていたことくらいだ。



 *   *   *



 「さて、次はどうしようかしら? このまま暴れるのも良いけれど……面白くないわね。あ、そんな時はっ!」


 カエルラは妙案を思いついたのか、何者かに【念話】を繋ぐ。

 ずっと身を潜めていた存在(もの)は、その隙を見逃さずに死角からの攻撃を繰り出す。

 その存在は金髪の美女で、数刻前に消えた筈のアマルティアだった。


 「【記憶強奪(サルガタナス)】」


 その技は、全ての“記憶“を自らのものとするスキル。

 正確に言えば、対象の記憶の全てを消し去り、その肉体を崩壊させる事が出来る権能。

 だが、その真の目的は───自らがその者に成り変われる力があるからだ。

 その技は、対象に“接触”することによって発動する。

 幸いにも発動条件は、カエルラが覚醒する前に済ませてあった。

 それ故、カエルラの体は光に包まれる。


 「えっ───?」


 その光は一瞬で崩れ去り、光の粒子となって“海淵神殿(アトランティス)”の真奥で、霧散した。


 今ここに───生まれてはいけない存在(もの)が、生まれてしまった。

 “背理神(イブ)”アマルティア=ムネモシュネの分身体が、本体の“記憶”を引き継いだ。

 そして、“海帝神(ポントス)”カエルラ=ティアマトの“海覇神龍(リヴァイアサン)”とも言われる”憎悪の権化“の人格を取り込んだ───歪な“神人(デミゴッド)”が、生誕した。



憎悪に塗れた、歪なデミゴッド───!!

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 大したことないや~ん!と思わせてからのこれだよ。 余念がないなアマルティア。 そんなに神人になりたかったか。 記憶を持つと成り代われる……本人そっくりに作られた人形でも、本人の経験がない…
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