179話 海淵の大渦
氷塊の破壊、成功!!
よし、これから先は異流渦隔門海域の対策だな。
それを塞いでいた氷塊───渦塞氷塊が爆散したのだから、渦が戻る。
それらが意味することは、この戦艦が渦に呑み込まれる。
『ラムダ! 団長とテオス様の反応を確認した!!』
アルセーヌ・デルタからの念話が届く。
ふむ、そうか。
ロキも消え、テオス様も戻ってきたらのなら───
『訊こえるか、“航海神”?』
───ッ!?
オレは、その人物からの念話に驚愕する。
それもその筈だ。
念話を送ってきた人物は───ルフス様のもの。
だが、何故だ?
何故このタイミングで……
『訊こえぬのか? ポセイドン』
少し圧が掛かった気がして、急いで返事をした。
『はっ、はい! 何でしょうか!?』
『うむ。これから異流渦隔門海域に入るじゃろう? そこに儂も入れて欲しいのじゃ』
───えっ?
思考が停止した。
だが、数秒後に再び動き出し───
『な、何を仰られているのですか!? 此処までご足労して頂く訳には……ッ!!』
『なら問題ないじゃろう。もう来ているのじゃから』
ルフス様のその発言の後、念話はプツリと切れる。
そして、背後に奇妙な気配を感じた。
オレは直様、椅子を動かしながら振り返る。
そこに悠然と立って居たのは───
「ル、ルフス様ッ……!? な、何故!?」
オレは目前に居るルフス様に、その疑問を投げ掛けてしまう。
───あ、やってしまった……。
オレ如きがルフス様に意見するなど!
「儂は呼ばれたのじゃ。主様のスキル───【憤怒之魔神】にのぅ。そろそろ渦が海面に現れるぞ、集中せよ」
……そう、だった。
オレの目的は、テオス様を“海淵神殿”へ連れて行く事だ!!
そう考え、椅子を動かして正位置に戻る。
そして───必要最低限の情報電子版を複数展開する。
キーボードもついでに出現させる。
キーボードは片手で打てるように、縮小している。
さて、問題はここからだな!!
オレは、戦艦専用の結界を張る準備をする。
その為に、キーボードを使ってコードを打てるように手を添える。
それを片手間で行い、周囲の確認も忘れない。
コード、コード……何だったか?
───思い出したぞ!!
意味が全く解らなかったから、忘れていた。
特殊結界展開暗号、入力開始───!!
1:『I love you everything, I'm jealous of everything around you』。
2:『Can you love such an existence?』。
3:『If you say you can't do it, I give up』。
4:『Because I want to respect your feelings』。
5:『But if I could start over, I'd say it again』。
6:『I love you』。
よし、間違えずに入力できたぞ!
大変だった!!
オレはそう思いながら、エンターキーを押す。
直様、変化は起こり───戦艦は正六角形が多重に結合した球状の障壁で覆われる。
その文章を見て、ルフス様は静かに呟く。
「これは、誰の言葉じゃ? この世界では見てない文字じゃが、なぜこの文章を……? この文章は、まるで恋文───」
ルフス様の声を遮るように、戦艦が揺れる。
否、海面が揺れたのだ。
ようやくか、異流渦隔門海域ッ!!
オレは、これから起こる様々な未来を想像する。
その影響で、心が跳ねるように躍っている事を知覚した。
そして、戦艦はゆっくりと大海の中心の渦に吸い込まれ、この世界から消えた。
───正確には、深海と謂う“世界”へ移動したのだ。
ようやく“海淵”へ───!!
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