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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第四章 海淵神殿編
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176話 幻惑の匂い


 「タンタロス、何をした?」


 我がそう問うと、タンタロスは首を傾げ───


 『ワシが、その理由を喋るとでも思うておるのか?』


 いやらしく不気味な笑顔。

 狂気を孕み、黒一色で染められた生気を感じぬ瞳。

 瘴気さえも纏えるであろう人間を逸脱した薄紫色の身体(からだ)

 そして、乱雑に伸びた灰色の髪。

 それ等のどれを取っても───常人とは言い切れない。

 寧ろ、真の狂人と言える。


 『まぁ、よかろう』


 タンタロスの声が聞こえた瞬間、視界が霞む。

 いや、違う!!

 霞んでいるわけではない、のか?

 こ、これは……霧!?


 『この技は【呪怨殺毒濃霧(ミュルティロス)】。“神”すらも祟り殺せる───呪いの霧じゃ』


 タンタロスはそう言いながら、前髪に触れ───かき上げる。

 “神”の記憶に、微かにあったオールバックという髪型になっている。

 ほぅ……本気を出す、と言う意思表示か?

 いや、そうではない可能性も考えた上で、戦闘を続行するべきか?

 ……その策を考える時間が無駄だな。

 よし、希望を与え、叩き落とすとしよう。


 「良かろう。覚醒はしていなくとも“神”と謂われる存在であることは変わらない。その証拠を───教えてやろう」


 我は、タンタロスが居るであろう場所に向かって声を発した。

 この景色すらも、幻術である可能性を疑ったほうが良さそうだ。

 しかし、次から次に……面倒なものだ。

 いや、1番大変なのは───“運命神(モルラ)”の方か。

 

 『お主、何者じゃ? 自分のことを他人事のように言いよって……それではまるで、自分が“神”ではないと言っているようなものじゃが……。どうなっておる? お主の精神構成(からだ)は───』


 よし、今が絶好の機会だ!

 我は“呪いの霧”ごと消す為に、風属性魔法を使用する。

 

 「敵の前で、隙を見せない方が良いぞ。痛い目に遭うからな───『神風斬刃(ウェントゥス)』!!」


 タンタロスが居る方向へ手を伸ばし、それを飛ばす。

 刹那、暴風が吹き荒れ───霧が吹き飛び、姿がはっきりと顕になったタンタロスの胴体を分離させていた。

 それの正体は、風の刃。

 “神”の力を以て圧縮した“始源の嵐”に最も近い魔法。


 『もう、倒した気でいるのか? 何とも浅はかとしか言いようがない。少々、楽観視し過ぎと言うものじゃぞ』


 暴風に髪を揺さぶられながら、そこに悠々と立つのはタンタロス。

 先程とは、雰囲気が違っている。

 何かが、おかしい……?

 ま、まさかッ───!!


 タンタロスは、我がその答えに辿り着いたことに気がついたのか、ニヤリと不適な笑みを浮かべた。

 そして、答え合わせとでも言うように言葉を紡いだ。


 『【神堕幻惑蜜香(アンブロシア)】───このスキルは、ワシとお主が出逢った瞬間から発動させていたものじゃ。それにすら気づけんとは、“神”も落ちたものじゃな。あぁ、暫くは【呪怨殺毒濃霧(ミュルティロス)】の神経毒の所為で動けないじゃろう。ワシに課された“任務”はもう済んだ故、失礼するとしよう。では、また何処かで合間見えるじゃろう、その時まで眠っていると良い。そのまま、永遠にな───』


 あの感じ……気づいたというよりも、元から知っていたとしか思えないな。

 今はこんな事を考えている場合ではない、早く“神”の精神世界に行かねば……!!


 我は、動かぬ体に見切りをつけ、自身の並列存在たる───ルフス=プロメテウスに念話で連絡を入れた。


 

連絡の意図とは───!?

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] こ、これは高性能じいちゃん……!? もしくは無人島に漂流されたような人!!!(意味不明な喩え) <“神”の記憶に、微かにあったオールバックという髪型になっている。 もっと他に思い出すべ…
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