175話 復活した記憶
「貴方のその体は、テオス様の……」
金属製の床に倒れ伏し、デキウスは我に問う。
我は、丁寧にデキウスに事実を伝える。
「我は───“太陽神”ルフス=プロメテウスの並列存在にして、“神”のスキル【憤怒之魔神】である。現在は……ムネモシュネが連れ去った“神”の意識に代わり、この体を動かしている」
デキウスは納得した、とでも言う様に微笑み───黙り込んだ。
……呼吸をしていない訳ではないな。
気力をすり減らした所為で、気絶したか。
さて───
「そろそろ姿を見せたらどうだ? アマルティア=ムネモシュネのスキルによって作られた分身体」
我が此処に来た目的は、侵入者を排除する為。
それ以外に、用などない。
デキウスの技は面白かったが、“神”の体には通じないようだ。
甘い匂い……?
いや、気の所為か。
『やはり、お前を侮辱したのは間違いであった……のぅ、“神帝”?』
機械が建ち並ぶ影の隙間から、ある人物が現れる。
その人物とは───かつて、大罪を犯して奈落に落とされた人間。
そして、1年程前に“炎神”ラス=ヘーメラーによって、滅された存在。
我は───目前に居る存在に問い掛ける。
「何故、貴様が生きている? “不死王”タンタロス」
我は、目前に立つタンタロスに問う。
どの様な経緯で存命して居るのか、と。
返事など帰ってこないだろう───と思いながら。
『簡単な事じゃ。儂は───アマルティアのスキルによって、受肉した。そして、新たな力も手に入れた』
新たな力……?
いや、それよりも、何故コイツが生きている!?
タンタロスが今言った事が事実であるなら───事態は、面倒なことになっている。
ムネモシュネは元々、記憶を司る存在だ。
タンタロスを生き返らせたスキルが、記憶に関する能力であるならば……
「───仕方ない、排除するほか無いか。神代級・水属性魔法-『氷柱凍散槍撃』」
我はそう唱え、空気中の水分を氷柱へと変える。
それを───幾重もの槍の刺突と関連させて、想像する。
瞬く間に、氷柱は氷槍へと変貌し……タンタロスに突き刺さる。
『ご、は……!?』
四方八方から刺さった、透明な氷槍を伝って───紅い雫が滴り落ちる。
だが、この魔法の本領は───敵対者を行動不能にする事にある。
徐々に、タンタロスの表皮が……輝くように、艶めくように成っていく。
「意識だけが残る……氷結の世界に、閉じ込められるがよい」
我が、氷に穿たれ凍ったタンタロスにそう告げる。
その瞬間、ピシッ───という嫌な予感がする音だけが聞こえた。
刹那───タンタロスの全身に刺さった氷槍が砕け、地面に墜ちる。
そして、タンタロスの行動を縛っていた氷が溶け───ソイツの高笑いが、その場を支配する。
『ふははッ! ふはははははははははは───ッ!! 面白い!! じゃが、お前は危険過ぎる。それ故───殺す』
タンタロスは……そのままの態度で、声音で、そう言い放った。
1つだけ違っていたのは、一瞬で光が消失した瞳。
何を、言っている?
コイツは……我を殺せるとでも思っているのか?
“太陽神”の並列存在である、この我に……!!
ふざけた真似を、してくれ───る?
景色が、傾く。
ゴトリという音が聞こえると、頭に衝撃が走った。
い、痛い……!?
痛覚無効は発動させている筈だが……痛い!?
何故、この我の───いや、“神”の肉体に痛みなどッ!!
混乱する我に、睡魔が襲い掛かってくる。
そして、静かに目を閉じる───。
* * *
暫く時が流れ……夢から覚めるように目を開けた。
霞んだ世界が、徐々に輪郭をと取り戻していく。
そして───先程の事が夢だったかのように、眼前にはタンタロスが居た。
夢か現実か───!!
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