170話 運命に翻弄される神
“砲撃”。
その正式名称は───“天滅神壊帝光芒”。
それは……スキーズブラズニル内部に蓄えられている太陽光から得たエネルギーを、半分に成るまで圧縮しながら大砲へ流し移す。
そして、圧縮した“太陽光”を神速に匹敵する速度にまで昇華させ、その莫大なエネルギーを一点に放出する。
それこそが───アルブス様が至天帝神大皇艦に搭載した神魔導科学技術。
やはり、エネルギーを大砲に移すのは時間が掛かるな。
はぁ……面倒だ。
「───何者だ。団長たるジョーカーと万物の創造者たるテオス様以外が入って来て良い場所、などでは……!?」
オレは、そう言いながら……椅子を回転させる。
そして、視界に入ってきた侵入者は───
……な、何故!?
何故、このような存在が此処に居るのだ!?
あまりにも場違いだぞ!!
“運命神”ロキ=フォルトゥーナ!!!
背後にある扉の前に悠然と立つ人物こそ───悪名高き、運命を司る神。
……いや、常に運命に翻弄され、操られている哀れな存在。
実に不愉快だな、何故……抵抗しない?
“運命”に抗わないんだ?
オレには、解らない……コイツの気持ちが。
ラプラスになら、ロキの気持ちが解るのかもしれないが……他人に自分の感情がバレるなど嫌なことだ。
絶対に許してはならない。
他者の記憶を追体験し、感情を喰らう大悪魔───ラプラス=アフロディーテを。
意識が、ロキからラプラスに移っている事に気づき、その考えを振り払う。
「なに、俺はテオスの様子を見に来ただけだ。流石にここの所、干渉し過ぎているが……仕方ない。世界神もそろそろ勘づき始めている頃だ。世界神の盤上から強制的に退場させられる前に、叛逆の意思をテオスに継がせなければ───」
「アイツ……? いや、その様なことよりも……何故、貴方が此処に!?」
ロキは呆れたように溜息を吐き、告げる。
「だからさっきも言っただろう……む? この気配は、誰の魔力だ?」
ロキが呟くと同時に、その魔力の波長を感じ取る。
この魔力の波長は……団長の?
いや、だとしても───魔力を解放している?
敵襲か?
このタイミングで?
まさか……ッ!!
ロキが連れてきたのか!?
その可能性がある以上、確認してみるとするか。
オレはスキーズブラズニルの中に居る、全員の現在位置を割り出す。
すると……テオス様と団長の位置だけが表示されなかった。
「───先程、テオス様の様子を見に来たといったな。だが、本当は……テオス様の精神を支配しに行ったのではないか?」
オレはロキにそう問い掛ける。
少しだけ圧をかけて。
すると、ロキはオレの意見を一笑に付す。
「何故、俺がそのようなまどろっこしい真似をしなければならない。それに───何故、相手が……テオスなのだ。俺はテオス本人に害を与えようとした事は一度もない。俺が精神を支配するのは……緊急事態の際だけだ。そう簡単に、人間の精神を支配して何が楽しい? まぁ……そこら辺は、ラプラス=アフロディーテにでも訊いてみろ」
何を言っているんだ、コイツは?
タンタロスやデセオ……アーダ・アルベリヒの3名を操っていない、と言う事か?
いや、もしそうだったとしても……フギン様の精神を支配し、ネロ様の娘たる───フィリアを襲ったのは事実。
ならば……とぼける必要はない筈だが、ロキは本気で言っているのか?
タンタロス、デセオ、アーダ、アマルティア、フギン様、フィリア。
この6人に自ら害を加えた訳では無い、と───。
ロキの発言の真偽は───!?
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