168話 境界の神
……しかし、面倒ですね。
こんな時にオルコスが訪れるなんて。
わざわざ、天界から来なくとも良い気がするのですが───まぁ、良いでしょう。
今回だけは……オルコスの独断では無いので。
「───何故、まだ残っているのですか? 早くカエルラに伝えたほうが良いのでは……?」
「大丈夫だ! もう暫くしてから行くからな!!」
目の前で大聖堂の床に横になっているオルコスがそう笑いながら言う。
いや、こちらとしては早く帰って欲しいのですが……。
この気配は……何だ?
ルフスの魔力───“太陽”か?
いや、それにしては魔力の波長が弱いような……一体、どうなっている?
私は、突如として知覚した魔力について考える。
魔力の発生源は───アトラス港付近の海域。
オルコスが何かに気付いたのか、すぐに立ち上がる。
その所為で、短い赤髪と天使特有の白と金の衣服が───所々に赤い模様が入っている───ふわりと動く。
「クソが! カエルラめ!! “保険”を懸けていやがったか!! だが、許可を貰ってからの行動は『干渉する事を禁ずる』って言っていた。これでは、何も出来ないではないか!! はぁ……一旦、アーサーの所に戻るとするか───またな、ピウス」
私に別れを告げると同時に、オルコスの姿が掻き消える───。
私はその光景を確認した後、額に手を当て思い悩む。
はぁ……本当に面倒だ。
それにしても、カエルラが保険をかけていた、か。
何の保険なんだか……待てよ、カエルラがオルコスに懇願し、それが叶ったとしても……本人には破壊できる手段がない筈……あ、そういえばあるな。
ルフスの魔力と酷似した波長を放ち、“神”が乗っても壊れぬ様にあらゆる“技術”を混ぜ込んで造られた───至天帝神大皇艦と言う船が。
* * *
この世界の天空に浮遊し続ける皚皚の如き城にて───
「───オルコスか。どうだった、境界神は?」
「あぁ! やっぱり頭の切れる人物だった。俺は、アイツと相対する気はないぞ」
オルコスはそう言いながら、首を横に振る。
やはり、そこまでか。
最近の……アリシアの妙な動きも気になる。
それに関しては、イリスも同じか。
我らが王について行って───いや、付き纏っている様にも思える。
そろそろ、あの謎の空間も調査しなくてはいけない。
……はぁ、やる事が多いな。
「大きい溜息など吐いて、どうかしたのか?」
目の前に立つオルコスが首を傾げながら、俺に問う。
「いや、なんでもない……気にしないでくれ。あと、ロキは動きそうか?」
「暫くは動かないだろうな。これで、全て……アイツの思惑通り、か」
オルコスが報告の後に、そう呟く。
「おい、オルコス! その発言には気をつけろ!! オーディン様に『何人たりとも“神”を侮ってはならぬ』と言われた事を忘れたか!?」
俺が怒鳴ると……赤髪の少女が一瞬で跪き、謝罪する。
「言葉を選ばずに発言してしまった! これからは、発言にも気を付ける!! だから、だから……!」
流石に、声が大き過ぎたか……?
いや……大丈夫だろう。
ならば───
俺は、ある決断をして……自らが座っている王座から立ち上がる。
「オルコス。大丈夫だ、怒っている訳ではないから安心しろ。だが、お前には……少し頼みたいことがある、良いな?」
「アーサー……! 勿論だ、俺に出来ることならなんでも言ってくれ!!」
オルコスは目を輝かせながら、俺を見つめる。
その様は───神に祈っているかのようだ。
では、命じるとしよう。
一応……ピウスにも許可は貰っているしな。
「───界隔虹煌神壁の使用を許可する。それを用いて、アーダ・アルべリヒが収容されている“奈落”へ行ってこい!!」
「了解!」
オルコスは深々と頭を下げ、短く返事をすると、この城の窓へと近づく。
そして……窓を開き、そこから飛び降りる。
刹那───急降下しながら、純白の翼を広げる。
それを目視した瞬間……オルコスは超高速で飛び去って行った。
いざ、奈落へ───!!
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