164話 大海の調停者
凶悪な海獣の代表格がなぜ此処に!?
いや、今はそんな事を考えている暇はない!!
海中から出てきたという事は、私たちが乗っているこの船を“敵”として認識したと謂う事。
カリュブディスがゆっくりと口を開く。
その瞬間、鋭く長い歯が見える。
だが、それに目を奪われてはいけない。
───あれは、【水撃砲】!?
徐々にその口内に水が現れる。
それは肥大化していく。
やばい……!
でも、どうすれば良い!?
あれは───空気中の水素を集め、圧縮して放つスキル。
という事は、空気中の水素を消滅させれば良いのですが……被害が甚大過ぎる。
『……動くな。遊戯神よ』
脳内に声が響く。
この声は───!?
聞き覚えが……
浮いているカリュブディスの真下の海面が黒く染まる。
これは……違う!
海面が黒く染まっているんじゃない!
これは、魚影だ!
何者かが───近づいてきている!!
あの声と関係があるに違いないッ!
そして、ソレは現れる。
ソレは───魚などではなく、巨大な海獣。
クリールの次にこの大海を知っている程の……知識の持ち主。
「ケートス!?」
突如として、海面から現れた存在は───“大海の調停者”の異名を持つ存在であり、アルヴィスの輩下。
何故、大海帝鯨───いえ、ケトーは此処へ来たのでしょう?
『我が王の───ましてや、偉大なる御方が乗られている船を破壊しようとした罪。万死に値する』
海面から飛び出た巨大な鯨は……大きく口を開きながら、私に告げる。
ゆっくりと、でも着実に───その巨体は空中で回転する。
そして、バクンとカリュブディスが口の中に入る。
あぁ……カリュブディス。
今、命運は尽きた。
ケトーの口はある種の異次元空間に成っている。
だから、口に入るもの全てを捕食する事ができる。
『我はまた深海へ戻る。我が王よ───氷塊で“砲撃”を使うと宜しいかと』
その言葉が脳内に響いた後───ケトーが着水した。
ケトーの綺麗な軌道と、仕草によってそれは芸術とも呼べるものへと昇華していた。
だからこそ、忘れていた。
巨体という事が───どれ程、甚大な被害を齎すのかを。
水飛沫が上空に舞い上がる。
そして、その水飛沫は重力に従って落下する。
船を穿つのでは?と思える様な速度で……豪雨の様に降る。
はぁ……せめて、こちらの被害を考えてから出てきて欲しかった。
何故、知恵者ほど……感情で動く者が多いのだろうか?
知恵者の残念な共通点とでも言えば良いのですかね。
いや───考えることが出来るからこその結論?
普段、脳を使い過ぎているから?
どれも違う気がする……。
『団長! 今すぐ操縦室に戻って来てくれ! “砲撃”を放つ準備をしたい!!』
私の熟考する脳に、アルヴィスの念話が届いた。
“砲撃”とは、一体───!?
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