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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第四章 海淵神殿編
163/240

163話 海獣カリュブディス


 「さぁ───出航するぞ!!」


 ラムダがそう叫び、浮遊している椅子に飛び乗る。

 そして、手慣れたように辺りの景色を確認しながら出航の準備を始める。

 

 「目的地は何処です? ラムダ」


 「渦塞氷塊(スカジ)だ!」


 ラムダは、大声でそう告げる。

 本当に……出航の準備をしながら返答ができているのだから、凄いとしか言いようがない。


 「わかりました。では……私はアルセーヌの所へ行ってきます。運転は任せましたよ───ラムダ」


 私はそう言って、扉へ向かって歩を進める。

 突然、ラムダが「あぁ、任された! 団長!!」と言ったので、驚いて振り返ってしまった。

 ラムダのその顔は、なんだか煽っているようで少しイラッとした。

 私が直ぐに扉の前に立つと、扉が左右に動いた。


 流石はアルブス様とモーズグズ様が造り出した戦艦。

 やはり───素晴らしい。

 これ程までに、未知の力が眠っているとは……!!


 私は感嘆しつつも、アルセーヌの元へ向かって歩を進める。

 機械仕掛けの廊下を歩き、階段を降りる。


 確か……操縦室が3階。

 探知・防衛室が2階。

 個別の部屋がある1階。

 様々な機構が眠る地下1階。


 そして、アルセーヌの元へ着く。

 正確には……アルセーヌがいる部屋に着く。


 さて、この歯車(ギア)に手を近づければ良いんでしたっけ。

 

 私はそのギアに触れた。

 その瞬間、ギアが青く光り出し、扉へと青い光が血管の様に……分岐しながら流れる。

 それが───扉を覆い尽くしたのを視認すると、左右に扉が動いた。


 「……おや、団長殿ではないですか」


 そう言うのはアルセーヌ。


 「準備は大丈夫ですか? デルタ」


 「はい。それはもう万全に」


 そう言うアルセーヌに私は釘を刺す。


 「油断───いえ、慢心している時ほど……人間は騙されやすい」


 「解っていますよ。それを利用し尽くして来た私が、痛い程そのことは知っている」


 苦虫を噛み潰した様な顔で、アルセーヌはそう言った。

 アルセーヌには釘を刺さなくても良かったようですね。

 では、自室に戻るとしましょうか。


 「私はそろそろ戻りますね。渦塞氷塊(スカジ)を破壊する際に、また来ます」


 「わかりました」


 そう言ってアルセーヌは私に向かって微笑んだ。

 その瞬間、ビービーと鈍い音が部屋中に響く。


 「!? こ、これは……まさかっ!」


 「デルタ!? この音は……」


 「団長、早く操縦室へ! 海渦巨鮫(カリュブディス)と思われる反応がレーダーに掛かりました! 対処方をラムダへ───」


 アルセーヌの発言を遮る様に船が揺れた。


 まずい……!

 この船が揺れるという事は……相当な負荷が掛かった、と言う事。

 それに先程、アルセーヌが言ったカリュブディスと言う単語。

 それは───海獣の一体に過ぎない。

 群れから離れた個体なら良いが、もしそうでなければ……


 『グ……グゴォオオオオ!!!』


 猛獣の叫び声が、私の脳内に響いた。

 唐突の事で、一瞬足がふらついたが何とか耐える。


 今のは……!!

 まさかっ!

 リーダー格のカリュブディスだとでも!?


 私は驚愕しつつアルセーヌの部屋から出る。

 そして、司令塔の階段を急いで駆け下りる。

 急いで扉のロックを解除する。

 すると、ガーと扉が左右に開く。

 その瞬間、視界に映った光景は───


 「……海渦巨鮫(カリュブディス)!!」


 海から飛び出した鮫。

 その鮫は大きく空中で旋回していた。


 その姿は……!

 まるで、宙を舞うセイレーン───!!



カリュブディスの出現───!?

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 出航ーーー!!! 要は世界の壁を壊してくれって頼まれているんですよね。世界を壊さないといけない程の何かがあったのか。 言葉が通じない獣程恐ろしいものはない。果たしてこのカリュブディス達に…
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