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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第四章 海淵神殿編
162/240

162話 海淵の渦を塞ぐ氷塊


 テオスの(いえ)、宝物殿にて───


 巫女服を着た白髪の少女は笑う。


 「ふっ、ふははははは!! まさか、このタイミングでスキーズブラズニルを起動させるとは……妾も驚きじゃ!」


 金貨の山に座すその少女は高笑いする。

 そして、その少女───アルブス様が私に問い掛ける。


 「のう、お主も予想しなかったじゃろう? パンドラ」


 私は、自らが入っている()の蓋を内部から押し開け、外界へ出る。


 「む? その瞳の色……また新しい絶望が生まれたのじゃな?」


 やっぱり凄いや……アルブス様は。

 些細な変化に直ぐ気づく。

 その力は、機械神(ムーサ)だからなのかな?

 それとも……


 「大丈夫か?」


 アルブス様は私にそう問う。

 

 「うん、大丈夫。そう言えば……スキーズブラズニルって最近作られたばかりけど、ちゃんと動くの?」


 私はそう問い掛けた。

 すると、アルブス様はドンと胸を叩いて自信満々に言った。


 「大丈夫じゃ! あれは“雷神(レミエル)”モーズグズ=トールと妾───“機械神(ムーサ)”アルブス=デウス・エクス・マキナが造った戦船(もの)なのじゃ! 万一の問題もなく、動くに決まっておる!!」


 「そうなんだ。じゃあ、渦塞氷塊(スカジ)に突撃しても無傷?」


 「う〜む……どうじゃろうな? あれは海淵と大地を区切る壁ゆえ、壊してはならぬ物じゃ。それに、それを壊せると言う事は……世界を破壊しうる力を持っている、と言う事になる。そして───渦塞氷塊(スカジ)界隔虹煌神壁(ビフレスト)と同じ働きをしている……。それ故、境界神(テルミヌス)の許可がいるのじゃ」


 今から境界神(テルミヌス)に許可を貰う、という方法もあるけれど……ダメだ。

 あの御方は……今、教会の本部へ行かれている。

 【念話】を使って連絡する事も可能だけど……失礼だ。

 洗礼の儀の最中だったりしたら……キレられる。

 

 「……と言う事は、傷はつくけど……被害は甚大にはならない?」


 私の問いにアルブス様は頷く。


 「うむ。じゃが……あの船には大砲が付いておる。あれは───モーズグズの魔力“巨縮(サイズ)”が付与されておる」


 「大砲……? それって、強いの?」


 アルブス様は「うむ」と言って頷き、扇子を取り出した。

 そして、パタパタを仰ぎ始める。


 「司令塔で指示を出す人物のレベルや精神力、魔力密度などによって……“砲撃”の威力が変動する仕様なのじゃ」


 「おぉ〜! それ、面白そうだね!!」


 「じゃろう?」


 アルブス様はそう言って、ニヤリと笑った。



 *   *   *



 テオスの(いえ)、フィリアの部屋にて───


 茶髪の少女が微笑んでいる。


 「久しぶり。イズン」


 私にそう言うのはネロ様。

 私が管理する黄金林檎(ボヌム・マールム)がある精霊界(エデン)を守護する存在───それこそが、ネロ様。

 黄金林檎(ボヌム・マールム)───それは、善と悪という意味を持つ。

 

 「いえいえ、ネロ様もお元気そうで何よりです」


 ネロ様に感謝を告げる。


 「ふふっ、ありがとう。それで……どうだった? ロキの力は……」


 ネロ様は直ぐに本題に入ってきた。


 私に与えられた任務───それは、精霊界(エデン)に居る間のロキの監視。

 “監視”に関しては、ムニン様の方が得意だと言ったのですが……聞き入れて貰えなかった。

 ネロ様の事だから……何かしらの思惑があるとは思うのですが───って、何を考えているんです!

 今はネロ様の問いに答えないと……!


 「はい、テオス様程では無いかと。あそこまでの“圧”は感じませんでした」


 「そうですか。あ、そういえば……弟と妹は大丈夫?」


 ネロ様は少し残念そうな顔をする。

 そして、私に質問を投げ掛け、首を傾げる。


 「はい、大丈夫です。お陰様でいつも元気にしております」


 「……そう。それなら良かった。じゃあ、私は帰るわね」


 ネロ様は立ち上がって、扉の前まで歩いていく。


 「はい。ご足労頂きありがとうございました」


 私はネロ様に向かってお辞儀をする。

 そして、顔を上げてネロ様を真っ直ぐ見つめる。


 「気にしないで。貴方は───私の娘なんだから」


 その声が聞こえた瞬間、私の頬にネロ様の柔らかい手が触れる。

 ネロ様は───今にも泣きそうな顔をしていた。



ネロの真意は───!?

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 箱に入っているってことはパンドラちゃんは実質ミミック娘(謎の発言) アルブス様まさかの戦艦作成者だったかぁ。 でも氷塊は壊せないってそれマジ? 世界の壁と同義って……えげつないなあ。 …
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