160話 氷塊
「なら、教えて貰っても───」
ネクロ様がウィリデ様に問う。
ウィリデ様は、ネクロ様の発言を全て訊く事なく、発言する。
「駄目。優先するべきは……カルラ。カルラの救出が終わってから、ロキの正体について話す」
ウィリデ様の発言に、ネクロ様は渋々、「分かりました」と言って頷く。
そうですね。
私達も気持ちを切り替えなくては……!
「───では、私達も“任務”を遂行しますか」
ジャックは「……うん、わかった」と。
ラプラスが「了解致しました。団長」と。
アルセーヌが「承知しました。団長殿」と。
「では、テオス様を寝かせたまま行くとしましょうか。海淵神殿に」
全員の意見が一致した瞬間に、ネクロ様がそう告げる。
「わかったの~」
ウィリデ様がネクロ様の意見に同意し、ゆっくりと頷く。
そして、リル様は───
「わかったのですっ!」
そう言って飛び跳ねている。
そして、ブンブンと尻尾を振っている。
たぶんですが……。
アレは、無意識なのでしょうね。
私がそんな事を考えていると、ネクロ様が無言で頷いた。
「では、準備は整っているようですし……出発しましょうか」
ネクロ様の発言に続いて、全員が頷く。
そして、ネクロ様は……リル様がテオス様を担いだのを確認したのか、魔法を発動させる。
魔力を温存しなくても良いのでしょうか?
……流石に、もう強いモンスターは出てきませんよね?
あれ?
そう言えば、先程去って行ったロキ様が……アマルティアが何とか、と仰られていた様な?
私の訊き間違いだったのでしょうか?
その可能性が1番、高そうですね。
ネクロ様もウィリデ様もリル様も、誰1人としてそのような事など言っておられませんでしたし。
【念話】もしくは、『思想通信』で話していたという可能性も、なくはないのでしょうが……。
そう考えていると、視界が純白へと遷り変わり、浮遊感を感じた。
* * *
視界に映るは───海。
天空と海面が同化したと思える程に、地平線の果てまで続く蒼い景色。
その理由は……海面が鏡の様に透明で、一帯に島が存在していないから。
「壮観ですね……」
「……ん、その通り」
ラプラスの呟きに、珍しくジャックが同意する。
ジャックが口下手なのは……彼女の過去にある。
彼女は───スキルの発現と共に家族を失った。
実際には、発現などでは無く……暴走だった。
家族の壮絶な仕打ちに対し、スキルが───いや、ジャックが心が悲鳴を上げたのだ。
それは……ジャックからすれば、自らの意図しない結果だった。
そもそも、ジャックは……その時の“家庭”を幸せだと感じていた。
それを誰でもない……自分自身の手で壊したのだから、自暴自棄にもなるだろう。
そして、そんなジャックを救ったのが、アーテル様───……
「ジョーカー? どうかしましたか?」
「あっ! いえ! 何でもありません!!」
ネクロ様に急に声を掛けられ、驚いた。
その所為で、慌てたように返事をしてしまう。
それを見て、ネクロ様は……
「そうですか。それは良かった」
その声は、とても安心感がある声。
脳が、そう認識した瞬間───何者かの声が聞こえた。
『貴方達は……何者?』
それは……よく透き通る声。
でも、少しだけ幼く感じた。
「この声は……」
ネクロ様が何かを呟くと同時に……海面が揺れ動く。
風も吹いていないのに、だ。
『私の名前はクリール。人々は、私の事を───海神と呼ぶの』
その声と同時に海面から巨大な烏賊と、2本の触手が出てきた。
え……烏賊?
それも、巨大な!?
私が困惑していた、その時だった。
何処からか、以前……テオス様が弾かれていた『悲愴』という曲が聞こえてきたのは。
そうを感じると同時に、私達全員は───氷の大地に立っていた。
な……!
何でこのような場所に!?
それに……クーリルも消えている!
いつの間に此処へ───……
『私はもう───限界が近い。だから、この言葉を残すわ。オケアノスを塞ぐ氷を壊しなさい』
それは、クリールと似て非なる声。
その声は、最初こそ悲しそうな声ではあったが、後に何かの決意をした女性の声だった───
海と氷は切っても切り離せない物───
最後まで読んで頂き有難う御座います!
【報告】
12/19(月)~3/10(金)までの長期間、休載します。
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