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【五章連載】ディオス・ウトピア 〜神々の王は平穏を望む〜  作者: 神威皇華
第四章 海淵神殿編
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159話 怪盗と詐欺師


 「では、テオスを此処に連れて来たんだ。もう、俺は帰るぞ」


 「ま、待って……!」


 転移しようとするロキ様をウィリデ様が声を絞り出して、呼び止める。

 すると……ロキ様の動きがピタリと止まった。

 

 「何だ、ユピテル……」


 「声はロキ様そのもの。……でも、あの御方はウィー達を“真名”で呼んだりはしない。貴方は、ロキ様じゃない。違う?」


 ウィリデ様の声に、ロキ様はほくそ笑む。


 「そう思うなら、そうなのだろう」


 「それは……肯定、ととっても良い?」


 ウィリデ様は、ロキ様の返事にそう問い返す。


 「あぁ、お前の判断に任せる。天空の覇王にして智謀の女王よ……」


 ロキ様は、そう言って不敵に笑う。

 そして、ウィリデ様「はぁあああ~」と大きな溜息を吐く。


 「もういいや。どうせ、喋る気ないんでしょ~?」


 「あぁ、執拗に追い回されようともな。だが───1つ、教えてやろう。アマルティアがカエルラを支配しようとしている」


 「!!」


 ロキの発言に驚き、全員の動きが止まる。

 

 「ま、まさかッ! だが、それが本当なのだとしたら───……」


 「少し黙っていろ、タナトス。俺はお前に殺されそうになった事を忘れはしない」


 「……? 何を言っているのか、分かりません」


 ネクロ様はそう言って、首を傾げる。

 その姿を見てロキ様が舌打ちをする。


 「まぁ、いい。情報は教えた。俺はもう帰る───精々、俺を楽しませてみせろ。原初の人間達よ……」


 ロキ様がそう言うと……その体が、漆黒の液体に変貌する。

 そして、それは重力に従って地面に落ちる───が、その液体は……ロキ様自身の影に吸い込まれていった。


 あれは……【影移動】!?

 ロキ様が使えるなんて……


 「アイツ……私を無視し続けていたのです!!」


 うがーと、大声で叫ぶのはリル様。

 今からでも遅くない、とロキ様の後を追う為に匂いを嗅いでいる。


 「リル、やめなさい。今から追いかけても、絶対に追いつけませんし……絶対に、勝てません」


 ネクロ様は「勝てません」の部分を強調して発言した。

 

 「何故なのです!? 私が、あの()を使って、アイツの能力を封印すれば……」


 リル様の意見にネクロ様は冷酷な言葉を告げる。


 「それでも勝てません。何故なら……あの指輪は、全ての“力”を抑制し隠蔽する装飾品。ロキの力は最低でも……見ることが出来るステータスの2倍以上はある、と考えておいた方が良いでしょう」


 「お、お言葉ですがっ! その指輪は……テオス様が所持しているのでは───」


 今まで、沈黙を貫いていたラプラスが声を上げる。

 だが、その声はネクロ様の声によって掻き消される。

 

 「えぇ、ですが……オルトゥスからこんな報告が来ています。『ロキは僕の魔力とスキルを使っても勝てなかった。それに、テオス様が所持している筈である……“斬理剣”レーヴァテインも所持していた』と───」


 そんな……。

 テオス様が所持する武器ですら所持している……。

 その場合、ロキ様の能力は───武器や装飾品のコピーか、武器庫の出入りが出来る権利、の可能性が最も高いですが……両方とも現実的ではない。


 「それは……幻影だった、と云う事も視野に入れるべきでは? 目の前で起こった全てが本物では無い可能性、を疑うべきかと」


 アルセーヌがネクロ様に口を挟む。

 その意見に、ネクロ様は頷く。


 流石は……怪盗、といった所ですか。

 本当に良い意味で、着眼点がいやらしい。

 でも、これは……アルセーヌが味方だから言える事。

 それに関しては、ジャックやラプラスにも言える事ですが……。


 「それも視野に入れるべきですね。……貴方はどう思います?」


 そう言って。ネクロ様はウィリデ様に視線を移す。

 だが───……


 「私!? 私はねー」


 リル様が自分の意見を言おうとした瞬間、ネクロ様が「貴方じゃありません。ウィリデに訊いているんです」と言った。


 相変わらず、キツい言葉ですね……。

 王の特徴……とでも言うべきでしょうか?

 

 そして、ネクロ様は何事もなかったかの様に「さて」と呟き、話を進める。


 「ロキについて、どう思いますか? ウィリデ……」


 ネクロ様は、しっかりと名前を呼んで問う。

 それに対しウィリデ様は───


 「ロキを強さで見るなら、誰でも勝てない。それは……策士として見ても、同じ事が言える。そして───それらを度外視して、スキルと正体を予測するなら……もう、正体は分かる」


 ウィリデ様のその言葉に全員が驚愕し、呆然となる。

 その場は、一時の静寂に包まれた───



ウィリデから告げられるロキの正体───!!

最後まで読んで頂き有難う御座います!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 大変そうな存在に見えるけど実は正体についての情報は既に出ているというパターン、好きです。 シンプルな物事はよき! 漆黒とか影がキーワードであるように思えましたが……
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