152話 認識
視界に映るのは金髪翠眼の美女。
だ、誰だ!?
「ふふふ、可愛いのね」
揶揄う様に微笑みながらそう言った。
だが、次の瞬間───
「……でも、私は貴方の事が嫌い」
翠色に輝いていた宝石から光が消える。
「え……?」
俺は声を漏らす。
その瞳には光が存在していない。
「まぁ、いいわ。でも……1つだけ質問させて。貴方は一体、何者なの?」
すぐに瞳に光が戻る。
ナ、ナニモノ……?
───そんなの、決まってる。
俺は俺。
他の何者でもない。
だから、俺が今ここで言う言葉はたった1つ。
「俺は……人間だ」
俺がそう言うと、その女性は少し目を見開いた。
そして、手で口元を隠す。
この動作……知っている。
笑みを隠す為にやるものだ。
この感じ……ロキか?
───いや、違うな。
ロキはもっと歪な感じがする。
だからこそ……この女性が何者かが気になる。
「違うのよ。貴方の頭は……いや、違うわね。貴方の記憶は───何故、14歳から始まっているの!?」
な、何を……言っているんだ!?
流石に、此処に来てから、1年は経過したけど……。
そんなに物忘れ酷くないぞ!
俺は自らの記憶を手繰る。
そして、今───記憶は蘇る。
蘇るは過去の……異世界の記憶。
───弟や妹達と一緒に遊んだ記憶。
───妹達の為に料理を教えた記憶。
───成功したり失敗したりした記憶。
───家族全員で大笑いした記憶。
───何かが原因で、弟や妹達と一緒に泣き喚いた記憶。
徐々に“それ”は形作られていく。
それは、点と点が繋がるように……形を成していく。
───男子だけでふざけて笑い合った記憶。
───女子と仲良くお話しした記憶。
───友達と大喧嘩した記憶。
───ちゃんと謝って仲直りした記憶。
だが、1つだけ思い出せない物がある。
それは───家族やクラスメイトの名前と顔。
俺は頭を抱え、思案する。
な、何で!?
何で、何で、何で、何で、何で!!
何で思い出せない!!
あんなに楽しかったのに!!
あの世界の幸福な記憶は───今、失われた。
いや、失っていた事に“今”気づいた。
ふざけるな。
ふざけるなよ。
お前か。
お前が、やったのか。
お前が俺の記憶を、奪ったのか。
絶対に赦さない。
今ここで、お前を───
「おい、そんな事で怒るな。また【狂乱暴走】と【意識反転】が発動するぞ」
重々しい男の声が聞こえた。
だが、何度か聞いたことのある……とても優しい人間の声だ、と思った。
俺は顔を上げて、その人物を見た。
神の怒りを宥めし者───
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